1日を“ダブルヘッダー”で活躍できる「昼寝型」人間とは?

サイエンス

 世のビジネスは株式市場などをはじめ“朝型”の活動が標準となっているが、実のところ人々の半数近くは“夜型”だともいわれている。朝型がメインの社会活動において、夜型人間の能力をじゅうぶんに活用できないのは、ある種の社会的損失かもしれない。

■夜型人間は本来の能力を発揮できない?

 夜型人間は決してマイノリティではなく、少なくとも人々の40%以上を占めるとも言われている。自分に適していないライフスタイルを強制されている夜型人間は、学業や仕事で“本気”を出すまでもなく1日を終えてしまっているのかもしれない。もしそうだとすれば、大きな社会的損失だと言えるだろう。

 英・バーミンガム大学の研究チームが2019年5月に「Sleep」で発表した研究では、実験を通じて夜型人間は朝型の社会生活の中で脳機能をじゅうぶんに働かせられていないことを報告している。学業でも仕事でも、夜型人間は朝型の社会で真価を発揮できていないというのだ。

 38人の実験参加者の内、16人が朝型人間で、22人が夜型人間であった。参加者はぞれぞれ13~16日間、健康状態を計測・記録するウェアラブル機器を常に装着し、1日3回、朝昼晩と唾液を採取されてメラトニンとコルチゾールの値が計測された。さらに日々の生活実態を浮き彫りにするアンケート調査と作業パフォーマンスを測るいくつかのテストが各時間帯で行なわれ、そして脳のMRIスキャンも行なわれた。

 収集したデータを分析した結果、夜型人間は勤務時間中により多く眠気に襲われていることが明らかになった。これはもちろん生産性の低下に繋がり得るものである。

 朝型人間は午前中のテストで優れた成績を収めたが、午後になったからといって成績が顕著に下るわけではなかった。一方で夜型人間はやはり夕方の時間帯でしか良い成績を収めることができなかった。つまり夜型人間は朝型の社会生活のほとんどの時間帯において、本来の能力を発揮できていないのである。

 研究を主導したバーミンガム大学のエリーゼ・フェイサー・チャイルズ博士は「もし社会として時間をもっと柔軟に管理することができれば、社会の生産性を最大化し、健康上のリスクを最小化するために大いに役立つ」と指摘している。

 多くの人々が否応なく朝型の生活に従わされている中にあって、より柔軟なフレックスタイムの導入などによって夜型人間の本領を遺憾なく発揮させることができれば、社会にとっても組織にとっても大きなプラスになるのだろう。

■生活リズムは変えられる

 夜型人間は総じて健康悪化のリスクと隣り合わせにあるとも言われている。生活リズムを改めたいという気持ちを持つ夜型人間もいるが、とてもじゃないが朝型になれるわけはないとはじめから諦めている夜型人間も少なくなさそうだ。しかしながら最新の研究では、少しの心がけで3週間あればじゅうぶんに朝型人間になれることが報告されている。

 英・バーミンガム大学とサリー大学の合同研究チームが2019年5月に「Sleep Medicine」で発表した研究では、実験を通じて夜型人間の生活リズムを変えることが可能であることを報告している。

 22人の夜型人間(平均就寝時間:午後2時30分、平均起床時間午前10時15分)が参加した実験では、3週間にわたって以下の4つの課題が課された。

●起床時間を2~3時間早める。朝の間にできる限り日光に当たる。
●就寝時間を2~3時間早める。夜の間はできる限り光を浴びない。
●こうして設定した就寝時間と起床時間を仕事のあるなしに関わらず守る。
●起床後にできる限り早く朝食を食べる。昼食は毎日決まった時間に摂る。夕食は7時前までに食べる(夜7時以降は食べない)。

 夜型人間である参加者の認知機能と身体的パフォーマンスのピークはそれまで夕方だったのだが、この課題を続けて3週間後には心身のパフォーマンスのピーク時間が午後にシフトしたことが確かめられた。つまり生活リズムを心身共に変えることができたのだ。

 また参加者は朝食を食べる習慣が身につき、精神的ストレスやうつ的気分が減少したことも報告していて、メンタルヘルスにも好影響を及ぼしていることが判明した。

 最初から諦めることなく、早めの就寝と起床を心がけることで夜型人間からの脱却はじゅうぶんに可能であることが今回の研究で示されることになった。はじめの一歩は普段より早い起床ということになるので、連休などのタイミングをうまく活用して生活リズムを変えてみてもいいのかもしれない。

■生活リズムは4タイプに分かれる

 最近の研究では我々がよく言う“朝型”と“夜型”という2つの分け方ではシンプルに過ぎることが報告されている。生活リズムのタイプは合計で4つあるというのだ。

 ロシア科学アカデミー、ベルギーのブリュッセル自由大学をはじめとする国際的合同研究チームが2019年5月に「Personality and Individual Differences」で発表した研究では、1日の生活リズムのタイプには従来の朝型、夜型に加えて午後型(afternoon type)と昼寝型(napper type)の4タイプに分類できることを報告している。

 研究チームは1305人を対象にオンラインでアンケート調査を行い、生活リズムと睡眠状況、1日の中での最も覚醒している時と最も眠い時についての回答が収集された。集められたデータを分析したところ、人々の生活リズムには4つのタイプがあることが導き出された。

●朝型:午前9時から午前11時にかけて集中力が最も高まり、夕方になるにつれて眠気を覚えることが増える。夕方の眠気は全4タイプの中で最も強い。

●夜型:朝の起床時の疲労度がやや高い。午前10時以降にならないと頭が働かないが、徐々に集中力が高まり夜まで覚醒状態が続く。眠気は午後10時以降まで訪れない。

●午後型:朝の起床時の疲労度が最も高い。しかし眠気は午前11時頃にはなくなり、集中力は午後5時頃まで高い状態で続く。夕方以降に徐々に眠さは増す。

●昼寝型:朝方と同じく午前中に集中力が増すものの、正午前から午後3時頃までの間に強い眠気に襲われる。したがってこの間に昼寝をとったほうが良いことになる。午後3時以降は再び集中力が増し午後10時頃まで保たれる。いわば“ダブルヘッダー型”で、うまく時間配分を管理すれば高い生産性を発揮できそうだ。

 この4つのタイプには年齢や性別による偏りはないという。はたしてアナタはどのタイプだろうか。

参考:「University of Birmingham」、「ScienceDirect」、「ScienceDirect」ほか

文=仲田しんじ

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