飲みっぷりのよい男性はモテる?

サイコロジー

 大酒飲みはモテる? 進化人類学のアプローチから、大酒飲み男性が女性の注目を浴びることが報告されている。

■飲みっぷりのよい男性はモテる?

 くれぐれもお酒の飲み過ぎには留意したいものだが、居酒屋やパブ、バーなど不特定多数が集う“外飲み”では、やはりというべきなのか、飲みっぷりのよい男性に女性の注目が集まることが最近の研究で報告されている。とはいっても、単純に酒に強い男性が“モテる”というわけでもなく、そこには男性の側が発信しているシグナルがあるという。

 米・ペンシルベニア州立大学、オルブライト大学、ニューヨーク州立大学バッファロー校の研究チームが2019年9月に「Evolutionary Psychology」では、その地域の適齢期の男女比である実効性比(operational sex ratio、OSR)と、大酒飲みの関係を探っている。

 自宅や飲食店で純粋にお酒を楽しむお酒好きがいる一方、ある文脈では“酒場”は人目、特に異性の目を前提にした“ステージ”であり“スタジアム”でもある。“酒場”にやって来た男性はそこでどんな振る舞いを見せるのか。

 研究チームによれば男性の飲みっぷりのよさは、周囲にいる女性に向けての“性的シグナル”であると説明している。そのシグナルを受け取った女性はその男性の思惑通り、たいていのケースにおいて飲みっぷりのよい男性を好ましく感じるということだ。

 大酒飲み行為に男性が込めているメッセージは、リスクを恐れない勇気であり、身体的タフネスであり、気前の良さであるという。そして潜在的パートナーになり得る可能性がある限りにおいて、女性はその男性を“健康で強い”者とみなして好ましく感じるのである。

 そしてこうした男性の大酒飲み行為は、実効性比が低い、つまり適齢期女性が少ない条件下と状況下で多くなり、またほかの大酒飲み男性の数、つまり“ライバル”が多いことでも強まってくるということだ。

 パートナー募集中の酒好き男性には、“外飲み”においてある意味で本質的に大酒リスクが高まることになる。意味のない“大酒飲み競争”には参加したくないものだが、これもまた酒の魔力のなせる業ということだろうか。

■サイコパス男性はモテる?

 飲みっぷりのよい男性は多かれ少なかれ女性には好ましく感じられていることが示されているのだが、ほかにも意外な“モテ要素”が別の研究から指摘されている。それは何とも物騒なことに“サイコパス”特性のある男性だ。

 カナダ・ブロック大学とカールトン大学の合同研究チームが2019年9月に「Evolutionary Psychological Science」で発表した研究では、実験を通じてサイコパス傾向のある男性が女性にどのように評価されているかを探っている。

 46人のカナダ人男子大学生が参加した課題では、出会い系サイトを通じての初デートという設定で、初対面の女性(女性研究者)との2分間の会話の模様が撮影・録画された。会話の内容は初対面同士がお互いを知るための質問であり、例えば初デートでどんなことをするのが好きかであるかや、人間関係で大切にしていることは何であるかといったものである。

 この課題を終えた後、男子大学生たちにはそれぞれサイコパス度、社会的知性(social intelligence)、ソシオセクシャリティ(sociosexuality)を計測するテストが課された。

 続いて108人の若い女性が男子大学生たちのビデオを見て当該人物の、一般的魅力、性的魅力、自信の程度をそれぞれ評価した。

 こうして収集したデータを分析した結果、サイコパス度の高い男性は、社会的知性とカジュアルなセックスに対する好意的な態度を示すソシオセクシャリティの両方が高い傾向にあることが示された。

 また女性の評価においても、サイコパス度の高い男性の魅力が高く評価される傾向があることも突き止められたのだ。この傾向は外見的魅力の影響を排除した計算においても失われることはなかった。

 研究チームによれば、サイコパス男性はその性格特性のスタイルが女性から魅力的に映ると説明している。サイコパス男性は自信を持っているように見え、一緒にいて安心感があり、加えてサイコパス男性はこうした女性の扱いに慣れている傾向があるということだ。

 しかし一般的に考えてサイコパス男性と関係を持つことは女性にとってある種のリスクをはらむものにもなるだろう。当然のことではあるがパートナー選びは慎重に行いたいものだ。

■ユニバーサルにモテる3つの性格特性

 女性にモテる特性がいろいろと明らかになっているのだが、ユニバーサルに通じる“モテ要素”は大雑把に3つあることがサイエンスから示されているという。その3つは以下の通りだ。

●前向きな態度
 ある意味で当然だが、前向きな姿勢と人生観を持つ者は基本的に魅力的である。選挙演説においても明るい未来が描けるかどうかが、票集めの鍵になるのだろう。

 これまでの研究からも、楽観主義者は長生きする傾向があり、よりキャリアにおいて成功し、精神的および肉体的に健康で、ソーシャルな魅力に富む一般的傾向が示されている。

 同様に、他者に親切に接する人もより魅力的であると認識される。モテたいならポジティブに、ということなのだろう。

●バランスのとれた外向性
 外向的人物は、端的に幅広い人的ネットワークに属し、良好な人的関係性を築き、機会を積極的に求め、基本的に幸福であると、心理学者のエイドリアン・ファーナム博士は言及している。

 さらに外向的人物は、より多くの性的パートナーを持ち、結果的により多くの子孫を持つ可能性が高くなるということだ。モテようと思えば、オープンな心と優しい笑顔の力を決して過小評価してはいけない。そしておそらく、魅力的な外向的人物は初対面の第一印象がすこぶる良いことが想定できるということだ。

●自信
  パートナーの魅力として自信はその筆頭に来るものであるという。自信によって社会的地位を高めながら周囲を安心させることができる。

 アリゾナ州立大学が2002年に行った調査では、自信は潜在的なパートナーにおいてきわめて魅力的な性格特性であることが報告されている。

 自信に満ちた人々はより“本物”に見えて魅力的な存在に感じられるということだ。

 外見的魅力は究極的には見る人次第だが、モテたいと考えるのならば(!?)この3つをよく考えてみてもよさそうだ。

参考:「SAGE Journals」、「Springer」ほか

文=仲田しんじ

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