年頃の娘を持つ父親は何かと子どもの周囲の事情に敏感になるだろう。米・フロリダ州在住の父親はたまたま見た娘の学校の宿題に激怒した――。
■娘の宿題の内容を見た父親が激怒
米・フロリダ州ジャクソンビルに住む一家の父親は、ある日何気なく11歳の娘の学校の宿題を目にすると、そのあまりにもユニーク(!?)な出題内容に思わず激高した。いったいどんな内容だったのか。
それは初歩的な生物学の宿題だったのだが、出題された問題は両親の血液型からその子どもの血液型を導き出す問題であった。しかしその“状況設定”がなかなかアダルトなものであったのだ。以下がその出題文である。
問:若い女性・アースラは打ちひしがれていた。なぜなら、先ほどボーイフレンドがセックスした後に「もう付き合えない」と一方的に破局を言い渡されたからである。
この心の傷を癒すため、また離れていったボーイフレンドに“復讐”をするために、翌日、アースラは一番仲の良い異性の友だちとセックスをして楽しんだ。
そしてアースラはその9ヵ月後、女の子を宿していることが判明したのだ。
アースラの血液型はO型である。別れた前のボーイフレンドはAB型であった。そして翌日にセックスをした“親友”はA型である。
もしこの赤ちゃんが前のボーイフレンド(AB型)の子どもだった場合、赤ちゃんの血液型は? 次の4つから選べ。
●A:A型
●B:B型
●C:O型
●D:A型かB型
答えは“D”の「A型かB型」ということになるのだが、解答はともかくとしてその出題の状況設定に父親は唖然とした。復讐するためのセックス(revenge sex)という行為を含んだ問題を、11歳の生徒に問いかけるのはあまりにも不適切であるとして激怒したのだ。
そしてこの怒りにまかせて父親は自身のフェイスブックにこの一件を激しく批判する動画コメントを投稿した。投稿されるないなや、再生回数はすぐに2万回を越えたのである。
「これらのタイプの質問は、テレビのリアリティ番組やよろめきドラマのためのものであり、11歳の生徒の生物学の授業で出題されるものではありません。私のこの訴えが認められることを望みます。こうした設問は事前にチェックされるべきです。そしてそうできるように私は“チェンジ”を訴えたいのです」(父親)
このフェイスブックでの反響を受けて、父親の娘が通うウェストサイド・ハイスクール側の声明では、この質問文はコンピュータによる自動生成によるもので、当該学区の検閲を受けていないものであると説明して謝罪している。いずれにしても11歳の宿題としては、いささか生々しすぎる問題であることは間違いないだろう。
■親は娘の夫にイケメンを求めていない!?
親にとって娘の扱いは息子とはやや勝手が違ってくるのかもしれない。親は娘の夫にイケメンを求めていないという興味深い研究が発表されている。
フランスの研究機関、IAST(Institute for Advanced Study in Toulouse)の研究チームは、中国・雲南師範大学の協力を受けて、中国の“結婚市場”の実態を調査している。
ひと昔前の日本のように、中国では若い独身の男女は親をはじめ周囲から早く結婚するようにとプレッシャーをかけられ、縁談を持ちかけられることも少なくないという。
中国の多くの都市の公園では、週末になると適齢期の独身男女が親を伴って集まる集会が催されている。研究チームは中国・雲南省昆明(こんめい)市の公園で催されていた集会を訪ね、589人の親とその独身の子ども、加えて230人の大学生を調査してデータを収集した。
調査では結婚相手に望む条件を親子それぞれに回答してもらったのだが、息子を持つ親はおおむね子どもと意見が一致していた。それは女性の外見的魅力を重視し、収入などは不問であるという条件だ。
その一方、娘を持つ親は子どもとは意見が食い違っていたのだ。娘は相手の男性の外見的魅力も収入と同じくらい重要視しているのに対し、娘を持つ親は義理の息子の候補者として高収入で魅力的な人物を避けることが明らかになったのだ。
なぜ娘を持つ親は娘の結婚相手に、裕福で外見的魅力のある人物を避ける傾向があるのか。研究チームはおそらく離婚のリスクが高まることを嫌ってのことだと考えられるものの、それを裏付ける今後の研究が必要とされていると解説する。
娘の夫が裕福でイケメンだと親としては少なからぬ警戒心が働くということだろうか。特に年頃の娘の父親は何かと複雑な思いを抱きそうだがいかがだろうか。
■母娘の絆は強い
娘を持つ父親は何かと複雑な思いを抱きそうだが、母親にとっての娘はあたかも我が身の“分身”であることが、最近の研究から明らかになっている。
2016年にカリフォルニア大学サンフランシスコ校などをはじめとする合同研究チームが神経科学系学術ジャーナル「Journal of Neuroscience」で発表した研究では、35組の健康な家族のメンバー全員の脳をMRIで詳細に分析して親から子への脳への遺伝的影響を研究している。
父=息子、父=娘、母=息子、母=娘と4通りの脳への遺伝的影響が比較検証されたのだが、この組み合わせの中でズバ抜けて強い遺伝的影響を及ぼしているのが母=娘であった。母親にとって娘はもう1人の自分ともいえる存在なのである。
脳の中で感情を支配する部分である皮質辺縁系が母と娘ではきわめてよく似ているのだが、これは母と娘はお互いの感情や考えを良く理解し合えることを意味している。母と娘は親子であると共に気心の知れた“親友”であるということにもなる。しかし場合によっては相手の気持ちが分かりすぎることで仲違いを起すケースもあるのかもしれない。
脳の構造が母と娘でこれほど似通っているということは、母親のメンタルの疾病は娘にも受け継がれやすいということでもある。これまでの研究でもうつが皮質辺縁系と強い結びつきがあることが報告されているのだ。
また2010年のフロリダ州立大学の研究では、母親と娘の間のつながりが、人生のあらゆる変化を通じて他のタイプの家族関係よりも根強く続くことが報告されている。母と娘の間にはどうやら男性陣にはうかがい知れない深い絆があるようだ。
参考:「First Coast News」、「Wiley Online Library」、「JNeurosci」ほか
文=仲田しんじ
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