笑顔は老けて見える!? ベストな自撮り写真のポーズが科学的に判明!

サイコロジー

 各種のSNSの普及により、ユーザーの自撮り写真がネット上に氾濫する時代を迎えているが、その多くを占めているのが笑顔写真だ。快活で若々しい印象もたらすと期待される笑顔なのだか、はたして本当にそうなのか?

■笑顔の自撮り写真は老けて見える?

 若々しさの象徴でもあり、各種のCMや広告に登場する人物やキャラクターもその基本は笑顔であり、SNS全盛時代の今日はネット上にも笑顔の自撮り写真が溢れている。しかし最新の研究において、笑顔が若々しいというのは誤った“神話”であることが指摘されている。

 イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学の研究チームが2017年5月に「Psychonomic Bulletin and Review」で発表した研究では、笑顔は老けて見えているという結果が報告されている。

 研究では、大学生42人に人物の写真を見せて、それを年齢順に並べてもらう実験を行なった。写真の人物は計60人(男性30人、女性30人:平均年齢25歳)で、1人につきそれぞれ「笑顔」、「普通の顔」、「驚きの表情」の3パターンが用意された。

 結果は意外なもので、笑顔の人物が最も年上に見られる傾向が浮き彫りになったのだ。逆に最も若いと受け取られているのは「驚きの表情」であった。

 しかし面白いことに、すべてのレーティング作業を終えた後に、あらためて最も若い人物は誰だったのかを問うてみると、笑顔の人物を選ぶ傾向も判明した。つまりイメージ的には、若い人物と笑顔は結びついているということだろう。しかし同一人物の笑顔は、他の表情よりも老けて見えているというのは意外な結果だ。

 研究チームによれば、笑顔は目の周囲の皺を目立たせるために“老け顔”になっているのではないかと説明している。一方で驚きの表情は顔の皺が伸びて目立たなくなることから、若く見えるということになり、確かに納得のいく説明になりそうだ。

 特に昨今のスマホ内臓カメラは高画質化が著しいことから、笑顔の時の皺がより目立ちやすい事態を迎えているともいえる。テクノロジーの進化でこうした懸念が増してくるというのも皮肉な話かもしれない。

■ベストな自撮りポーズとは

 基本的に笑顔は良い印象を与えるものだが、必ずしも若々しさをアピールするものではないことが指摘されたわけだが、サイエンスはSNSユーザーをガッカリさせるばかりではない。最近になって自撮りのベストなアングルも科学的に判明している。それは顔の左側を強調することだ。

 オーストラリア・メルボルンのラ・トローブ大学の研究員であるアンヌッカ・リンデル氏が2017年2月に発表した研究によれば、写真撮影の際に顔の左側を向けることでより魅力的に映ることが示唆されている。そして決して少なくない人々が意識的であるか否かに関わらず、実際に若干左側を多く見せるようにして写真に収まっているということである。

 リンデル氏の研究はSNSに投稿されている自撮り写真を分析することによって行なわれた。具体的には、インスタグラムのユーザー200人(男性100人、女性100人)がそれぞれ最近撮った写真10枚、合計2000枚もの自撮り写真を分析したのだ。

 2000枚のうち、41%が顔の左側を向けたポーズで映っており、顔の右側を向けた写真は32%に留まったという。そしてほぼ正面を向いた写真が20%で、その他が8%ということだ。写真撮影において左側を向けるほうがメジャーな行為であり、同じく左側を向けた顔が好かれる傾向がはっきりと浮き彫りになったということである。

 リンデル氏は、顔の左側は感情を司る右脳がコントロールしているため、情緒をより豊かに表現しているため魅力的に見えるのだと説明している。このメカニズムはかつてアメリカのウェイク・フォレスト大学の研究チームによっても指摘されている。スナップ写真を撮影する際には思い出してみてもいい話題かもしれない。

参考:「Springer」、「NCBI」ほか

文=仲田しんじ

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