独身男性は体臭がキツい?

サイコロジー

 独身男性は体臭がキツい? しかしそのニオイは女性には好ましく感じられていることが最近の研究から報告されている。

■独身男性は体臭がキツくて顔が男らしい?

 普段は結婚指輪を着けないという男性既婚者も少なくないとは思うが、独身か既婚かを女性はその男性の体臭から判別できているのかもしれない。

 豪・マッコーリー大学の研究チームが2019年1月に学術ジャーナル「Frontiers in Psychology」で発表した研究では、実験を通じて独身者と既婚者の体臭と顔を女性がどのように認識しているのかを探っている。

 実験では18歳から35歳の女性(異性愛者)82人に、同じく18歳から35歳までの6人の男性の体臭と顔を評価してもらった。男性は独身者も既婚者(特定のパートナーがいる者)もいるのだが、そうした人物に関する情報は女性たちには何も伝えられなかった。

 体臭を評価する課題では、運動で汗をかいた男性が着用していたTシャツのニオイを嗅いでもらい、そのニオイの強さを6段階で評価してもらった。

 回収したデータを分析したところ、既婚者の男性の体臭が平均3ポイントであったのに対し、独身者の体臭は平均3.5ポイントと高くなっていることが明らかになった。また顔の男性らしさの評価についても、既婚者よりも独身者のほうが男らしいと女性たちが感じていることも判明した。

 これまでの研究で独身者は既婚者よりも“男性ホルモン”であるテストステロンのレベルが高い傾向があることが示されており、これによって独身者の体臭の強さを説明できると研究チームは指摘している。

 また2013年の研究では、女性は排卵期においてテストステロンのレベルの高い男性を好む傾向があると報告されている。したがって“男性ホルモン”が原因の体臭は多少キツくとも女性には好ましく感じられているとも考えられるのだ。男性の手に結婚指輪がなくとも、女性はかなりの確率で独身か既婚かを“嗅ぎ分けられる”ということになりそうだ。

■男性独身者が“結婚しない理由”トップ5

 女性はかくも男性独身者を敏感に“嗅ぎ分け”られるのだが、とはいってもご存知の通り今日の社会では晩婚化、非婚化がどんどん進んでいる。

 そこでキプロス・ニコシア大学の進化心理学者、メネラオス・アポストロウ氏は巨大匿名掲示板「Reddit」のスレッドに独身男性ユーザーに向かって「どうして独身なのか?」という書き込みを行いその反応を分析した。

 2万件ものリプライがあったが、率直に質問に回答した6794件の返信を分析してみると、独身でいる理由は43にものぼることが浮き彫りになった。以下が独身でいる理由のトップ5だが、なかなか意気消沈させる(!?)ものかもしれない。

●5位:女性を誘うスキルがない
「女性と話している時に私のIQは40下ってしまう」とあるユーザーが書き込んでいる。

●4位:結婚に興味がない
「自分の自由とプライバシーが最も重要だ」という言い分が多い。

●3位:自分の努力が足りない
「異性関係は勝手にやって来るものだと信じていました」と自分からはまったく動いていないことを認める発言もある。

●2位:自信がない
「自信は鍵だが、鍵を持っていない私は締め出されいている」と自分を皮肉る書き込みもある。

●1位:ブサイクだから
「ブサメンである私は遺伝子を呪っている」という書き込みなど、なんと662にものぼった一番の理由は自分の容姿を呪うものであった。かなり残念な結果なのではないだろうか。

 アポストロウ氏によれば、ポスト産業時代を迎えてしばらくが過ぎている我々の社会と、男女の出会いにミスマッチが起きていることを指摘している。結婚するのが当たり前で、周囲が何かと“お膳立て”してくれていたかつての時代とは違い、現代は基本的にすべては本人の意思である。したがって今日の男性には異性に対する社交スキルが求められているのに、大多数の男性はそうしたことを学ぶことなく今日まで来てしまったということだ。

 晩婚化、非婚化についての話題は今後さらに切実な問題として話し合われることになるだろうが、男性の“独身でいる理由”の実態はなかなか寂しいものだと言えるのかもしれない。

■独身でいることの7つのメリット

 自ら望んでシングルでいるのか、それとも不本意な独身生活なのかで、もちろん生活の満足度(well-being)は大きく違ってくるのだろう。ライターのアリー・ウォランスキー氏によれば、ポジティブな独身生活には健康へのメリットが7つもあるというから興味深い。

●より多い運動量
 2004年のアメリカの研究によれば、18歳から64歳の1万3000人の未婚者を調査したところ性別に関わらず他のカテゴリー(既婚者、離婚者、別居者、死別者)よりも運動量が多いことが突き止められている。もちろん運動は健康にとってポジティブな効果をもたらす。

●身体を労わっている
 健康データを分析すると、既婚女性よりも未婚女性のほうが医療機関の利用回数などで自分の健康に気遣っていることが浮き彫りになっている。一方で2013年の研究では結婚して幸せを感じているカップルは、結婚から4年後の時点で体重が増える傾向があることが報告されている。

●挑戦ができる
「一部の専門家は、独身の人々は既婚の人々よりも粘り強く回復力があり、より強いソーシャルネットワークを形成できることから、社会的なより多くのチャンスを得られると示唆しています」と、性科学者のジェス・オライリー博士は言及している。独身者は仕事やソーシャルな活動でより多くの挑戦ができるのだ。

●健康な食生活
 人間関係の輪の中にいることのメリットを主張する研究が多い一方、ネガティブな人間関係は心身への悪影響をもたらす。カップル間の関係悪化はさまざま悪習慣を招き、その中には食生活と栄養状態の劣化もあるということで、独身者はそのリスクを回避できる。

●友人関係が長く続く
 結婚した時点でパートナーと家族が最優先の人間関係になり、残念ながらそれまでの友人との関係が疎遠になってしまうケースも少なくない。だが独身者は多くの友人と意味のある関係を長く保てる条件下にある。

●自己破産のリスクが低い
 経済状態は健康や幸福とは違うものだが、借金やローンはきわめて強いストレスになり得る。独身者のほうが負債が少ない傾向があり、お金の問題でのストレスを抱え込まないぶんだけ心身の健康を保ちやすい。

●自分の人生を楽しめる
 自分の手の中に自分の人生があるのならば、自ずから1人でも充実した時間を楽しむ方法を学ぶことができる。単独で気分を高揚できる能力は、カップルで楽しむこととはまた違った重要な生存スキルなのだ。

 シングル生活を続けるならばそのメリットをじゅうぶんに享受して、日々の生活と“自分の人生”を送っていきたいものである。

参考:「Frontiers」、「Science Alert」、「Your Tango」ほか

文=仲田しんじ

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