顔や胸や腰、脚など女性のカラダのどこに視線が誘われるのかはそれぞれだとは思うが、最新の研究で科学的に魅力の指標となる“女体パーツ”が提示されることになった。それは腰椎(ようつい)のカーブである。
■普遍的な魅力を備えた“女体パーツ”はどこか
人体の中心軸とも言える脊椎(せきつい)は、真横から見ると微妙にS字カーブを描いている。そして脊椎のS字が一番くぼんでいる部分はお尻のすぐ上の部分である腰椎だ。この部分のカーブが、女性のカラダの魅力を測るうえでひとつの確かな指標になることが最近の研究で報告されている。
人間の視線の行き先をリアルタイムで追う「アイトラッキング技術」の進歩が近年めざましいが、ポルトガル・ミーニョ大学の研究チームは、このアイトラッキング技術を活用して人々が女性のカラダのどこに視線を奪われているのかを実験・分析した研究を2017年10月に「Evolutionary Psychological Science」で発表している。
実験では、コンピュータソフトで作り上げた6体の女性の上半身をさまざまなアングルから82人の大学生の男女に見せてその魅力を評価してもらった。女性の6体のボディはそれぞれ腰椎のカーブの角度を僅かずつCG処理で変えてある。つまり急カーブでそのぶんお尻の出っ張りが強調されるボディラインもあれば、ほとんど一直線に近い胴体もあったのだ。
男性の観点に立てば予想通りということになるかもしれないが、やはり腰椎のカーブが鋭くなるほどに“女体”としての魅力が高く評価された。これは女子大生の評価も同じであった。
「腰椎の部分のカーブがきつくなるほど魅力が増しているのです」とファリード・パッツオイ氏は説明している。アイトラッキング技術で追跡した視線の行き先もやはりこの腰椎の部分に多く集まっていたのだが、男女関係なく女体が後ろ向きになるほど腰の部分に注ぐ視線が長くなっていたことも判明した。確かに我々も日常生活の中で他者の後ろ姿には遠慮なく視線を注く傾向はあるだろう。
アイトラッキングデータを分析したところ視線の先にわずかな男女差があることもわかった。女子大生はウェスト部分をより長く見ている傾向があり、男子大生は(やはり?)お尻を長く見ていることが確認された。そしてアイトラッキングのデータと魅力の評価は正面を向いたときよりも、横のアングルと後姿のアングルでより強く結びついていることもわかった。つまり顔を考慮しない純粋な“女体”の魅力という点では後ろ姿のほうが評価が高いことになる。
「お尻の部分に魅力を感じて視線が誘われるのは、このカーブが人間のメスを性の対象として表現し、オスの誘いに乗ることを示唆しているかもしれません。これはまた、女性がハイヒールの靴を履くことによって魅力が増す理由を説明するものかもしれません」とパッツオイ氏は興味深い指摘をしている。確かにハイヒールを履くとお尻が持ち上がって腰椎のカーブがきつくなりそうだ。“女体パーツ”のどの部分が好きかは人それぞれだが、女性のお尻の魅力はある意味で普遍的なものであるとも言えそうだ。
■女性は中年のぽっちゃり男性が好き!?
では女性はどんなカラダの男性が好きなのかという話にもなるのだが、意外にも女性はぽっちゃりしたオジサン体型の中年男性が本来好きなのだという見解が示されて話題を呼んでいる。いったいどういうことなのか?
中高年期以降の男性の健康について進化生物学的なアプローチで解説した『How Men Age: What Evolution Reveals about Male Health and Mortality』の著者であり、イエール大学の人類学者でもあるリチャード・ブリビースカス教授は中年期以降の男性に“マッチョ”なスタイルや生き方はフィットしないことを指摘している。代表的な男性ホルモンであるテストステロンの分泌が低下する中年期以降は体型が少しふっくら(ぽっちゃり)してくるのは自然なことであり、女性はそれを好ましく感じているというのだ。
男性は中年期以降に自然に脂肪が増えることで免疫機能が強化され、これが長寿に繋がっているという。そしてこの中年期以降の男性の“女性化”はむしろ女性にとっては歓迎すべきものであるというのだ。なぜなら浮気や不倫の可能性も低くなり、子育てにおいてはより子どもと長い時間を過ごしてくれることが期待できるからである。
つまり中年期以降に男性は“男”から“父親”になるということで、女性や子どもたちにとっては好ましい変化になるということだ。そして平和な家庭を築くことを最優先に考える女性にとって、中年期以降の少しぽっちゃりした男性が魅力的に感じられてくるというわけである。
しかし当然ながらながら物事には限度があり、完全な肥満になってしまえば逆に健康リスクを伴うことは明らかだ。中年期を過ぎた男性は“ぽっちゃり”までの体型に抑え、女性に安心感を抱かせるキャラクターを目指してもいいのかもしれない!?
■“イケメン”と結婚すると幸せになれない!?
ふくよかな中年男性が意外にも女性ウケが良さそうであることがわかったが、それでも当然世の中には“イケメン好き”や“マッチョ好き”な女性は多いだろう。しかしこうした“イケメン好き”な女性にはちょっと(かなり!?)不吉な研究が報告されている。魅力的なパートナーを持った女性は幸せになれないというのだ。
米・フロリダ州立大学の研究チームはこれまでに発表された女性研究をレビューして、女性のダイエット(減量)の動機を探る研究を行なっている。研究によれば、女性が強くダイエットに動機づけられる主な要因のひとつに、容姿が魅力的なパートナーの存在が挙げられるということだ。そしてこれが悪い方向へと進んだ場合、拒食症や摂食障害などを引き起こすきっかけにもなるという。
一方で不公平というべきなのか、男性の側は妻がどんなに魅力的であってもそれが理由でダイエットをはじめたりすることはほとんどないという。
また以前に調査会社がテキサス州ダラス在住の若い新婚カップル(平均20代後半)113組に行なった調査では、夫よりも妻の容姿が魅力的であるほうが結婚生活がうまくいく傾向があることが指摘されている。意外や、“イケメン”と結婚して幸せになっている女性はそう多くはないのである。
魅力的な容姿の夫は妻にとってプレッシャーになり、精神的に不安定な状態に追い込む可能性が示唆されているのだが、この妻を救うのは当然ながら夫である。レイノルズ氏は夫の側が、常に妻を肯定していることを示すメッセージを発するべきであると助言している。
「体重や体型に関係なく君を愛してる」などの言葉や、あるいは妻の内面的な魅力や能力を高く評価したりすることが夫に求められているという。妻が大変なのはわかったが、ということは夫のほうも実はなかなか大変そうである。そしてこうした女性のみに加わる社会的プレッシャーを理解することで、摂食障害の効果的な予防や治療への道が拓けてくることを研究チームは主張している。ともあれ“イケメン好き”な女性にはちょっと気になる話題かもしれない。
参考:「Springer」、「Yahoo! News」、「ScienceDirect」ほか
文=仲田しんじ
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