映画にドローンと何かと話題の“サメ事情”

海外の話題

 最近では海水浴客で溢れるビーチにもサメが出没することが珍しくなくなっている。一説では地球温暖化による海流の変化が原因と考えられているようだが、今後海ではサメへの警戒を怠ることはできないのだろう。

■ホラーじゃない話題の“サメ映画”2本!

 サメに対する人々の懸念と不安が増している中、どういうわけか昨今、サメが暴れまわるB級映画が豊作だ。サメの恐怖を意識することが増えたことの裏がえしの現象なのかもしれない。

 B級映画制作のド真ん中を突き進むアメリカの映画会社、アサイラムが手がける人気のモンスターパニック映画「メガ・シャーク」シリーズの『メガ・シャークVSグレート・タイタン』が話題だ。

 シリーズ第4弾となるこの『メガ・シャークVSグレート・タイタン』は、前作で完全に殲滅させたと思われた凶悪な巨大ザメ「メガ・シャーク」が残されていた卵から再び復活。なんと、まさにアノ“巨人”にソックリな旧ソ連が開発した巨人型兵器「グレート・タイタン」と、地球狭しと大乱闘を繰り広げるド迫力の内容だ。現在、動画配信やDVDレンタルなどで観賞できるので気になった向きはチェックしてみては。

 注目の“サメ映画”としてはもう1本紹介したいのが、謎の地球外物質を体内に摂取してロボット化した巨大ザメが街で暴れまわる『ロボシャーク』だ。

 大都会・シアトルの街をまるで海中と同じように縦横無尽に駆け回って辺りに瓦礫の山を築き、腹部に装備されたマシンガンをことあるごとにブッ放して破壊の限りを尽くすロボシャークに国家非常事態宣言が発令。遂に軍が出動し、数々の最新鋭兵器の照準をロボシャークに定めるのだが……。その後は本編を見てのお楽しみだ。

■実際に開発が進んでいる“サメ型ドローン”

 予告編の動画を見るだけでも“ロボットザメ”の恐怖に手に汗握るが、実際に米海軍では“サメ型ドローン”の開発が行なわれているというから驚きだ。

 昨年末、米海軍がバージニア州バージニアビーチにある「リトルクリーク・フォートストーリー統合遠征軍基地」で航行試験を行なったの機体が水中無人機「ゴーストスイマー(GhostSwimmer)」だ。以前からこの水中無人機の開発は知られていたが、今回は試験航行の様子を撮影した動画が公開されたのだ。

 このゴーストスイマーは、各種の動物の姿を模倣した無人機を開発するプロジェクト「サイレント・ニモ(Silent NEMO)」の一環として、海軍新技術迅速導入部(CRIC:Chief of Naval Operations Rapid Innovation Cell)が開発。当初はマグロ型のドローンを作製していたが、背ビレの形状がサメに似てきてしまい、結果的にサメ型ドローンになったようだ。

 全長5フィート(約152cm)、重量100ポンド(約45kg)と、もともとはマグロ型であったためそれほど大きくないが、スクリューなどはなく魚のように尾ビレを振って前進し、回転音がないため静粛性が高く発見され難い。潜航可能深度は10インチ(約25cm)から300フィート(約91m)だ。

 ゴーストスイマーの設計を行なった「ボストン・エンジニアリング」先端技術部のマイケル・ルフォ氏は「このゴーストスイマーは兵員を多く割くことなく米海軍の様々なタイプの作戦行動を可能にします」と語り、これによって作戦の幅が広がり、人員を浪費することなく情報収集や偵察活動を行なえる装備として画期的な無人機であることを力説している。

 また、米海軍戦闘開発部(NWDC:Navy Warfare Development Command)イノベーション部門部長のジム・ロウパー大尉は「このプロジェクトを通じて海軍内の若い才能に大きな夢を持たせ、実行に移す後押しになることを望んでおり、このゴーストスイマーのような無人機をすべての艦隊に配備し現場のベテラン軍人と協働させることで21世紀の米海軍のリーダーシップを保っていきたい」と語っている。

「グローバルホーク」や「RQ-1 プレデター」などの軍事用無人航空機の運用実績では米空軍が一歩先んじている感があるが、これから水中無人機を含めた米海軍も本格的にドローン部隊を設立することになるのだろうか。

■航空機から潜水艦へ姿を変えるドローンが登場

 空だけでなく今後は海の中でもドローンの活躍がはじまりそうだが、航空機メーカー大手のボーイング社がこの4月に取得した特許はまさに時代を先取りする技術かもしれない。その技術とは、航空機のドローンが海に突入して潜水艦になるというから驚きだ。

 この度、ボーンイングが米国特許商標庁から認められた特許は、分類上は無人航空機でありながらも作戦によっては潜水艦に姿を変えるドローンの技術だ。

 航空機から潜水艦へ姿を変えるドローン

 特定の海域の情報収集、偵察活動に使われることを想定しており、目的地までは飛行して素早く到達し、ターゲットの海域で水中に飛び込んで潜水艦へと変形して任務を遂行するのだ。着水した際に主翼や尾翼が外れるようにボルトが破壊され、また海水溶性の接着剤で装着された航空用パーツが海中で外れていく技術がこの特許の主たるものだという。

 無駄な部品が外れ潜水艦になってからは、予め装備されている浮力タンクで潜航深度をコントロールしながら任務に専念し、ミッション終了後は海面に姿を現し、収集した情報を無線で発信するということだ。場合によっては、大型の艦船を攻撃する“ドローン魚雷”にもなりうる軍事技術なのかもしれない。ともあれ我々の知らない間に、空のみならず海の中もドローンでどんどん賑やかになっていくようである。

参考:「Fox News」ほか

文=仲田しんじ

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