映画、動物園、ぬいぐるみと人気再燃中の“クマ”にはなんと安眠効果もあった!

サイエンス

 動物園でクマが片手でパンを見事にキャッチする動画が登場して注目を浴びている。

■愛嬌のあるクマがパンを片手でナイスキャッチ!

 クマやシカ、バイソンなども放し飼いにされた動物公園として人気の米・ワシントンにある「オリンピックゲームファーム」は、訪れた観光客がクマに向かって手を振るとクマのほうも手を振って挨拶してくれることで有名だ。見た目は猛々しいクマだが、ここは愛嬌のあるクマばかりの牧場なのだ。

 そして先頃、このオリンピックゲームファームを訪れた観光客が撮影しYouTubeで公開した動画が人気を博している。観光客が車の中から放った食パンを、クマが片手でナイスキャッチしたのだ。

 この芸当にパンを投げた観光客も大喜び。ゆっくり車を走らせながらも熱烈にこの“名捕手”に手を振って賞賛する姿が動画で綴られている。ちなみにここで動物たちに与えてよいのは100%全粒粉のパンだけなので、もし訪れる際にはご留意を。

 日本ではあまり多くない放牧型の動物園だが、アメリカではこれらの施設は車に乗ったまま楽しめる動物園として昔から親しまれている。娯楽が多様化した昨今、全米のクマ牧場はどこもシビアな経営状態にあるというが、このオリンピックゲームファームはこのクマのような愛嬌のある動物が多いことからも人気を保っているということだ。

 そして実はこのオリンピックゲームファームは1950年~1990年代にかけてディズニー映画のロケ地として使われており、当時から映画やTVなどに出演する“動物タレント”が多く暮らす牧場だったのだ。この動画のクマが“動物タレント”かどうかはわからないが、お客を喜ばせるエンターテインメント精神(!?)は、さすがはディズニーのDNAということだろうか。

■イギリス人の成人の3分の1以上がテディベアと一緒に寝ていた!

 映画『テッド』の影響などもありクマに対する好感度が急上昇中(!?)の昨今だが、もちろんテディベアなどのクマのぬいぐるみは昔から根強い人気グッズだ。

 特にイギリス人の多くは幼少期にテディベア(クマのぬいぐるみの総称)を買い与えられており、成人の約半数は大人になってもそのテディベアを身近に置いているということが2010年に行なわれた調査で判明したのだ。

 もともとこのユニークな調査が行なわれるきっかけになったのは、イングランドのホテルチェーン「Travelodge」が、ホテルの部屋にテディベアを置き忘れ後日問い合わせてきた持ち主の7万5000件ものデータを参照したところ、意外なことにその多くは成人で特に出張中のビジネスマンやビジネスウーマンが多かった事実が判明したことに起因している。これを受けて成人におけるテディベアの人気の実態を調査すべく6000人のイギリス人を対象に調査が行なわれたのだ。

 まず驚くべきは、イギリス人の成人の35%がストレス解消と安眠のためにテディベアと一緒に寝ている実態が明らかになったことだ。成人の実に3分の1以上が子どもの頃と同じようにテディべアと一緒に眠りに就いているのだ。そしてホテルの部屋でテディベアの忘れ物が多いことからもわかるように、出張などの宿泊を伴う旅の最中にテディベアを連れていくという男性は25%にものぼっている。なんと一部のテディベアはビジネスマンの心の支えにさえなっているのである。

 調査ではクマのぬいぐるみで最も人気が高いのはやはり断トツで「テディベア」であることが判明し、続いて2位が「クマのプーさん」、3位に「くまのパディントン」という“人気投票”の結果も出ている。そして15%の男性、10%の女性がテディベアはベストフレンドで、これからも個人的な秘密を共有していくと語っているということだ。

■ぬいぐるみは横になって眠るための効果的な“安眠グッズ”

 テディベアと一緒に寝ることで、心理学的には安心感に包まれて入眠することができるということだが、ぬいぐるみなどのクッション材に凭れかかって横になって眠るのは疲労回復に優れているという研究結果が先頃発表されている。テディベアと一緒に眠ることは精神面のみならず、実際に健康にも良かったのだ。

 ニューヨーク州立大学ストーニブルック校のヘレン・バンヴェニスト博士が主導する研究チームが科学誌『Journal of Neuroscience』で発表した論文によれば、仰向けやうつ伏せで眠るよりも、横になった体勢で眠るほうが神経系疾患の発生を減少させる可能性が高いということだ。具体的には、横向きに寝ると脳が老廃物を効果的に取り除くことができ、アルツハイマー病やパーキンソン病を含む神経性疾患を予防し、進行を食い止める働きがあるという。

 2014年に「TED」で、神経科学者のジェフ・イリフ氏が行なったスピーチ「よく眠ることが大切なもう一つの理由」が話題になったが、氏のこの講演で“脳は睡眠中に老廃物の処理を行なっている”ことが広く知られるようになり、睡眠の重要性が改めて指摘されることになった。そして今回、睡眠時の“体勢”もまた重要であることが分かったのだ。

 実験は身体の内部を可視化する装置であるMRIを用いて、それぞれ異なる体勢での睡眠時における脳脊髄液と間質液の流れをモニターする手法で行なわれた。その結果、アミロイドベーターなどを含む脳の老廃物は、横になって寝ているときに最も効果的に除去されていることが分かった。

 研究チームは論文に睡眠時の理想的な体勢のイラストを掲載しており、それによれば横になった人体が効果的に枕や胴体部分へのクッションを活用している様子が描かれ、足の間にも枕のようなクッション材が挟み込まれている。つまり抱き枕やぬいぐるみは横になって眠るための効果的な“安眠グッズ”だったのだ。精神面でも健康面でも、テディベアなどのぬいぐるみには実際にさまざまな“ご利益”があるようだ。

参考:「Daily Mail」、「Stony Brook University News」ほか

文=仲田しんじ

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