旅が人生を変える5つの理由と一人旅をすべき5つの理由

ライフハック

 人生は旅のようなものだとよく喩えられるが、旅によって人生が変ることもある。行き詰り感を打破する力を秘めた旅の効能に、この季節であればこそ注目してみたい。

■旅が人生を変え得る5つの理由

 計画を練ったり準備する時点ですでに気分が高揚してくるのが旅であり、我々はそれだけ旅にさまざまな期待を寄せているのだろう。その期待通り、旅がこれまでの人生を変える貴重な体験になることもあり得る。ソーシャルメディアマーケティングの専門家で作家のケイティー・ライムクエラー氏が旅が人生を変える5つの理由を説明している。

1.視野が広がる
 普段の日常生活を離れ、異なる生活をしている人々を実際に目にして、もし自分がここで生まれ育っていたらなどと思いを馳せてみたりすることで、人生に新たな視点が生まれる。

2.今を生きることを学ぶ
 目に映るものがすべて新鮮な旅では、日常生活を中断してその瞬間瞬間に没頭することができる。今のことだけに対処することを通じて新たな興味関心が生まれると共に、今まで気づかなかった意外な自分が発見できる。

3.モノより体験に価値を置くようになる
 旅を通じて貴重な体験を重ねることで、モノよりも体験を重視するようになる。そしてこの考え方が人生に良い影響を及ぼす。旅の楽しさを知るとお金の使い方がうまくなり、家計の収支にも好影響を与える。

4.流れに身を任せることを学ぶ
 旅では計画通りに進まないことや、不測の事態に直面することもある。こうしたことを受け入れつつ旅をする体験は、人生におけるタフネスさにも繋がるものになる。慣れない土地でトラブルに直面して克服した体験は、後の人生にとって大きなプラスになる。予期せぬ事態にも動じることなく落ち着いて対処できるようになるのだ。

5.今の自分と違った生き方を受け入れられるようになる
 ひとつとして同じ土地柄の場所はない。地域には異なる文化があり、人々は異なる信念を持っているが、どんなに人々や生活様式が違ってもほとんどの場合、固有の美徳がある。それこそが我々すべて結びつける共通の“結束バンド”であることを旅を通じて再確認できる。

 旅の醍醐味を知り、異なる文化に浸る体験は実人生においてもポジティブに作用するだろう。旅の体験は物怖じしない落ち着いた態度に繋がるものにもなり、仕事にも人生にもチャレンジングに取り組めると言えそうだ。

■幼い時期の家族旅行は知育の発達を促す

 旅をする本人のメリットだけではない。家族旅行は随伴する子どもの知育の発達を促すことが指摘されている。幼い子どもがいる家庭では両親も忙しい時期にあり、子どもとじっくりふれあう機会はなかなかないとも言えるが、家族旅行はこれを一気に挽回するチャンスとなる。

 ワシントン州立大学の神経科学者、ヤーク・パンクセップ教授は家族旅行は児童の2つの感情の発達を促進すると指摘している。その2つの感情とは、遊興システム(PLAY system)と探索システム(SEEKING system)である。

 家族旅行によって、この2つの感情システムが起動して活発に働き、脳内麻薬様物質と呼ばれるオピオイド、別名「幸せホルモン」と呼ばれるオキシトシン、そして快感に関係した報酬系の脳内伝達物質であるドーパミンの分泌が盛んになり、ストレスを低減すると共に充実感と愛情感覚を呼び覚ますということだ。

 遊興システムは両親とのふれあいを通じて育まれ、特に自然にの中で親子一緒になって新たなワクワクした体験をすることで探索システムが鍛えられる。これらは脳の「筋肉」のようなもので、経験を積むほどに鍛えられて感情が醸成されてくるのである。

 この2つの感情が幼いうちから育まれることで前頭葉の発達が促進され、後の人生において有益に働くスキルである社会的知性、集中力、目的志向性などの獲得に繋がるということだ。

 両親と一緒に芝生や砂浜を裸足で歩く体験や、さまざまな動植物に囲まれた山歩き、あるいはキャンプファイヤーなど、幼い時期に多彩で豊かな環境に触れることは、身体能力のみならず認知機能、知覚統合機能の向上に繋がることが2014年の研究で報告されている。これらの体験が前頭葉に作用する“脳の肥やし”になるということで、幼児期の知能指数にも影響を及ぼすことが2005年の研究で指摘されている。

 両親とたっぷりふれあい豊かな自然に触れることができる家族旅行は、子どもにとって親の愛情を感じながら好奇心を満たし、心身と知育の発達にとってかけがえのない体験であることは間違いないようだ。

■一人旅をすべき5つの理由

 家族旅行の一方でもちろん一人旅もまた、新たな体験を積んでその後の人生を切り開く絶好の機会になる。

 オーストラリア・クイーンズランド大学のコンスタンサ・ビアンキ教授は2015年に24人の一人旅体験者(平均の旅程9日間)にインタビューを行い「一人旅は自分の人生と行動をしっかりコントロールできている感覚をもたらし、深い洞察と自己発見に繋がる体験になる」と結論づけている。ちなみにオーストラリアでは2007年から2011年の間に一人旅の旅行者が20%増えたという。

 このビアンキ教授の研究に基づき、ジャーナリストのエンマ・クエト氏が一人旅をすべき5つの理由を解説している。

1.旅が自発的で柔軟なものになる
 おおよそのプランがあるにせよ、一人旅では可能な範囲でいつでも柔軟に行動を変更できる。こうした柔軟性が旅先で思いもよらない体験をしたり見聞を広めたりすることに繋がるのだ。グループ旅であればこの可能性が低くなり、またグループ内の他の者の気まぐれに左右されることがない。

2.出会いがある
 旅先では見知らぬ人に話しかける必要性が増してくるが、グループ旅やカップル旅ではむしろ会話が仲間内の“内輪受け”に向かってしまいがちだ。もちろん一人旅ではこうしたことにはならず、旅先で新たな出会いが生まれやすい。

3.考えているほど危険ではない
 一人旅を躊躇したり、家族や友人知人の一人旅を反対する人はとにかく危険性をまっさきに挙げる。しかし普通に人々が社会生活を送っている地で理由もなく危険な目にあうとは考え難い。訪れる場所を選び、適切な警戒心を持つことで女性でも問題なく一人旅ができる。

4.旅行中にケンカしなくてよい
 グループ旅やカップル旅のダークサイドとして、一緒に過ごす時間が増えることが災いし、意見の食い違いや仲違いが起りやすいことが挙げられる。それが友情や愛情を深める方に働けばよいのだが、最悪の場合は破局や絶交という事態も招きかねない。一人旅ではとりあえず、こうしたリスクは一切ない。

5.自分自身を知る
 日々の忙しさから離れて一人旅の機会を持つことで、人間的な成長が期待できる。他人の気持ちを推し量ろうと思えば、まず自分自身をよく理解しなければならない。日常生活の環境では惰性に流されて考え難い事柄でも、旅先では問題を深く考えやすくなるということだ。

 忙しい生活の中でふと旅に出たい気持ちになる人も少なくないと思うが、それはある意味では人間として自然な欲求であるのかもしれない。機会に恵まれた際にはそれぞれの旅を有意義に楽しみたいものだ。

参考:「Lifehack」、「Child Friendly Villas Ddirect」、「Bustle」ほか

文=仲田しんじ

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