夏休みの予定は立てないほうがよかった?

ライフハック

 長い休暇は有意義に使いたいものである。どうすれば長い休みをめいっぱい楽しめるのか。その秘訣は“予定を立てない”ことにあるという。

■レジャーの予定は大雑把に

 疲労回復にレジャーにと長期休暇を有効に活用したいものだが、最新の研究では休みを心ゆくまで楽しむには細かい予定を立てないほうがよいことを指摘している。

「楽しい活動に制限を加えたぶんだけ、楽しさは奪われていきます」とオハイオ大学フィッシャー・カレッジ・オブ・ビジネスのセリン・マルコック博士は説明する。細かいスケジュールを立てることでレジャーを自由気ままに楽しめなくなるということだ。

 マルコック博士はレジャーは大雑把なスケジュールのままで実施することを推奨している。開始時間と終了時間を厳密に定めてしまうとせっかくのレジャーを満喫できなくなるのである。したがってレジャーの後に具体的な予定を入れることもまた、そのレジャーの楽しみを半減させる要因になる。その予定が同じく楽しいレジャーだったにせよ、その前のレジャーの楽しさを奪うのだ。

「常に時計を気にしていると、最初のアクティビティを楽しむ時間が少なくなったように感じます。そして最初の楽しみはそこそこに抑えて、次にのスケジュールに向かうことになるのです」とマルコック博士は説明している。

 実験の1つでは、参加者はマッサージなどの好ましいアクティビティを、ほかに何の予定もない状態と、その後友人に会う予定があるという2つの設定で行いその楽しさの感じ方を探っている。友人と会う予定があってもなくてもマッサージの内容は何も変わらないのだが、その後に予定があるというだけで心ゆくまで楽しめていないことが浮き彫りになったのだ。

「次の予定へと心が奪われてしまうのです。今していることそれ自体が楽しいものではなく、次のアクティビティに到達するまでの過程であると見なしてしまうのです」(セリン・マルコック博士)

 また別の実験では参加者にコメディービデオを観てもらったのだが、任意の参加者にそれを観た後にまた別のコメディービデオを観ることになると伝えた。するとこの人々は、その最初のビデオがあまり楽しめていないことが明らかになった。

「レジャーを楽しむ鍵は、今のこの瞬間を楽しむことです。積極的に今を過ごし、予定表は気にしないことです」(セリン・マルコック博士)

 スケジュールを細かく立ててしまうと“時を忘れて楽しむ”ことができなくなるということだろう。夏休みの予定は漠然としたものでよさそうだ。

■退屈の5つのメリット

 普段はなかなかできないことを夏休みの機会にぜひとも体験してみたいものだが、なにもせずとことんまで退屈してみるというのも夏休みにしかできないことかもしれない。カウンセラーでセラピストのブリトニー・リンドストローム氏が大いなる退屈が人生に及ぼす5つの好影響を解説している。

1.創造性が開花する
 時間がたっぷりある状態で何かを考えれば思わぬアイディアが浮かぶ。ビジネスに繋がるアイディアや執筆する本のテーマを思いつくかもしれない。

 2017年に発表された2つの研究では、退屈は心を外へ向けて解放し、無限の可能性に満ちた世界を自由に探索できることが報告されている。

2.生産性が高まる
 退屈するほどの時間があればこれまでの人生を“総点検”してみてもよい。また現在の仕事についても深く考えをめぐらせてみれば、その問題点や改善できる点に気づくこともできる。こうしてより生産的なマインドセットが得られるのである。

3.目標指向タイプになれる
 退屈な時間を利用して、短期的目標と長期的目標を設定してみる。1、2年後の望ましい自分の姿と、10年後の理想の自分を思い描いてみるのだ。

 すでに目標を設定してある場合でも、退屈な時間はそれを見直すよい機会になる。こうすることで、より未来志向型、目的志向型の人物に変わることができる。

4.徳が高められる
 2011年の研究では、退屈はこれまでの人生を見直す良い機会になり、人々との交流や友情について“総ざらい”する格好のチャンスであることが指摘されている。

 過去の人間関係の上で失敗や断絶があったかもしれないが、何が悪かったのか、どうするべきであったのかを良く考えることで、将来に起り得るミスを減らしたり回避することができるのだ。

5.幸福感が増す
 退屈は心身のリラックスに繋がり束の間の心の平安が得られる。時間的な制約がない状態でクリアに物事を考えられるようになり、心が落ち着き幸福感が高まる。退屈は何もすることがない時間ではなく、心の平安を取り戻す時間でもあるのだ。

 長期休暇だからこその何もしない退屈な時間をこの際徹底的に味わってみてもよいかもしれない。

参考:「Daily Mail」、「Your Tango」ほか

文=仲田しんじ

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