協調性の高い“いい人”は自己破産しやすかった!

ライフハック

 人の和を重んじる心の温かい“いい人”には誰もが良い印象を受けるだろうが、その当人には思いがけない経済的リスクがあることが明らかになった。なんと誠実で協調性の高い人物はそうでない者よりも自己破産の確率が50%も高まるのである。

■“いい人”にある意外な経済的リスク

 お金が貯まる人もいれば、まったく貯金ができないという人もいる。その人物の性格特性が経済状態を占うものになるのだろうか。

 米ニューヨークのコロンビア・ビジネス・スクールと英ロンドンのUCLスクール・オブ・マネジメントの合同研究チームが2018年10月に「Personality and Social Psychology」で発表した研究では、300万人以上を調査した研究で性格特性と経済状態の関わりを探っている。

 これまでの研究で協調性(Agreeableness)の高さと経済的苦境の関連が指摘されている。研究チームはこれをさらに一歩進めて、協調性の高い人はどうして経済的苦境に陥りやすいのかを調査分析した。

 分析の結果、協調性の高い人物はお金の価値を低く感じており、お金をあまり重要視していないことが明らかになった。お金への執着心が弱く消費に躊躇しないため貯金できなかったり、経済的苦境に追い込まれやすい実態が判明したのだ。

 もちろん協調性の高い人々のすべてが経済的な苦境に陥っているわけではない。高収入の仕事に就いている人々にはあまりこの傾向は強く見られない一方、低収入で協調性の高い人物には経済的苦境に陥るリスクがより高まるということだ。

 また子ども時代に協調性が高いと診断された人は、大人になってから経済的苦境に陥る可能性が高くなることも示されることになった。“いい子”だった人に経済的リスクがあることになる。

 さらに住民の平均年収が同じレベルのイギリス国内の都市を調査したところ、協調性が高い人々が多い都市ではそうではない都市よりも自己破産率が50%も高くなることが示されることになった。

“いい人”に備わっている意外な経済的リスクが明らかになったのだが、こうしたことから“いい子”には将来お金に困らないよう専門職に就ける教育が求められているのかもしれない。

■お金が貯まらない5つの理由

 性格特性以外にも貯金ができない理由はあるのだろうか。南アフリカのファースト・ナショナル・バンクで消費者教育部門のトップを務めるユーニス・シビヤ氏がお金が貯まらない5つの理由を解説している。

●お金への関心の低さ
 お金との関係の貧しさは無目的な消費行動に繋がり将来を見据えた長期的な財政計画を不可能にする。

 またお金への関心が低いからこそ金融機関への借り入れにも無頓着になる。今購入しようとしているものが本当に必要なものなのか毎回確認することが重要だ。

●貯金のゴールを設定していない
 貯金額の目標をきちんと設定しない限りはじゅうぶんな貯金はできない。具体的に目標の金額を設定することで、無駄な出費を“無駄”と自覚できるようになるのだ。

●人に相談しない
 何を優先したらよいのか迷う時にはひとりで考え込まずにファイナンシャル・プランナーなどに相談する。たとえ今すぐには貯金がはじめられなくとも長期的計画は立てることができる。将来のどの時点から貯金をはじめその何年後に目標額を達成するのかプランを立てることで必要のない出費が減る。

●「人生は一度きり」に支配されている
 「人生は一度きり(You only live once.)」なのだから今を楽しんだほうがいいというのも一面の真実である。しかし人生は一度きりであるからこそ、お金は自分のために無駄なく有効に使いたい。常に将来を見据えた視点からお金を考慮することで、賢明な消費行動と貯蓄に繋がる。

●先延ばしする
 貯金を先延ばしにすることは将来的に妥協を招くことにもなり、潜在的な借金のリスクも高まる。人生には予期せぬ急な出費がつきものだが、貯金がなければこれらの出費を借金でまかなうことになってしまう。

 つまり貯金できないのは先のことが考えられないことに繋がっているようだ。5年後、10年後の自分を現実的に考えることができれば貯金を習慣づけられそうである。

■食費を無理なく切り詰める10の方法

 貯金ができるように無駄遣いがないかどうかあらゆる出費を総ざらいしても、食費については健康にも直結する消費であるだけにおいそれと切り詰めることはできないだろう。

 米マサチューセッツ州ノース・アンドーバーにあるメリマックバレー信用協同組合(Merrimack Valley Credit Union)のウェブサイトでは、食費を無理なく切り詰める10の方法を解説している。

●数日間にわたって食べられるものを買う
 1回の食事で使い切る食材を選ぶのではなく、煮物やカレーなどその後数日間食べられるメニューを前提に食材を選ぶ。1回あたりの食費を抑えることができると同時に、食べ残しを捨てることも少なくなる。

●大量に買う
 小分けにされた食品は便利なのは確かだが、節約のためには業務用サイズなどを選んで買う。大きめの冷蔵庫があることが前提にはなるが、当然のことながら1食分のコストは安価になる。

●食べ残しを冷凍保存する
 食べきれないものが出てきてしまった場合はすぐに冷凍庫に入れてしまう。冷凍してしまうことで、翌日必ず食べなければならないというプレッシャーからも解放される。

●クーポン券を使う
 クーポン券を提供しているスーパーは多い。買い物に行く前にクーポン券をチェックして、これはと思うものを決めてからスーパーマーケットを訪れたい。

●ポイントを貯める
 ポイントサービスを実施しているスーパーも多い。利用の際には必すポイントカードを提示してポイントを貯めたい。

●コーヒーやお茶は持参する
 勤務先でバカにならない出費になるのがコーヒーや紅茶、ミネラルウォーターなどのドリンク類だ。仕事中に飲むコーヒーや紅茶を自分で煎れて専用のボトルに入れて持参すればドリンク代を大幅に節約できる。

●弁当を持参する
 ドリンクに加えて弁当を持参すれば当然ながら食費が抑えられる。ランチミーティングがある日以外は極力弁当を持参したい。

●料理を多めに作る
 料理を若干多めに作るようにして食べきれない分は冷凍庫に入れるなどして保存する。こうすることで外食やテイクアウトの必要性を大幅に減らすことができる。

●家庭菜園を営む
 広い庭があれば好条件だが、ベランダのプランターでも可能な簡単な家庭菜園を育ててみたい。季節に合わせてさまざまな作物が収穫できて、習熟すれば少ないコストで大量の収穫を期待できる。

●キャッシュバックアプリを使う
 アメリカでの話にはなるが「ibotta」のような提携企業が商品をPRするため商品にキャッシュバックをつけるシステムがあり、買いたいものが決まっている場合にはうまく利用することで大幅なコスト削減に繋がる。日本でも例えば各店舗のポイントサービスに加えてクレジット払いでのポイントサービスで2重にポイントを獲得できるケースも少なくないので有効に活用すべきだ。

 健康と“食の安全”のためには単純に切り詰めることができない食費だが、こうした工夫で食事の質を下げずにコストカットできれば、確かに貯金にも繋がるだろう。

参考:「APA」、「fin24」、「Merrimack Valley Credit Union」ほか

文=仲田しんじ

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