レモンに熱い視線が注がれているようだ。それは、優れた健康食品としての側面はもちろん、ダイエットにも有効に活用できるというのである。
■優れた健康食品・レモンの6つの効能
レモンはビタミンC、葉酸、カリウム、フラボノイド、リモニンが多く含まれており、第7番目の栄養素と呼ばれ昨今注目されいるファイトニュートリエント(phytonutrient)を効果的に摂取できる食材であるといわれている。ファイトニュートリエントには抗酸化作用、アンチエイジング、生活習慣病の予防の効果があり、免疫の向上やデトックスにも有効に作用するということだ。
健康食品NPO「World’s Healthiest Foods」によれば、レモン1個(皮を含む)には成人が1日に必要なビタミンCの139%が含まれており、その一方で22キロカロリーしかないという高栄養&低カロリーな健康食品の代表的存在であるという。
医学系情報サイト「Live Science」によれば、特に6つの特筆すべき効能がある。
●免疫力の向上
レモンに多く含まれているビタミンCが血液中の白血球の生産を促し、ウイルスなどに対する免疫力の向上をもたらす。
●心臓の健康
レモンに含まれている葉酸 (folic acid) が、心臓発作のリスクを低め、ホモシステイン濃度を下げることで循環器系の健康に貢献している。また同じく多く含まれているリモニン(limonin)が血中コレステロールを抑制するため、結果的に心臓疾患リスクが低くなる。
●腎臓結石の予防
レモンやライムに含まれるクエン酸(citric acid)は、腎臓結石の形成を阻害し、小さな結石を粉砕する働きがある。
●がんの予防
2011年に発表された研究によれば、レモン果汁が乳がん細胞を死滅させたケースが報告されており、きわめて強い抗がん作用があることが指摘されている。
●妊婦の健康
妊婦の健康のための重要な役割を担っている葉酸塩(folate)がレモンには多く含まれている。葉酸塩はアメリカで妊婦に勧められている妊婦用ビタミン剤(prenatal vitamins)の主要な成分のひとつである。
●レモンの皮にも栄養がある
レモンの皮にも栄養は豊富でしかも柑橘系の良い香りがするので飲料水に入れたり、細かく刻んでざまざまな料理に加えたりと有効活用ができる。
健康食品としてきわめて優れたレモンだが、2つだけ注意しなければならない点がある。それは摂取し過ぎると胸焼けや逆流性食道炎の原因になることがある点と、果汁を直接口に含んだ際に、歯のエナメル質にダメージを与える可能性があることだ。一度に食べ過ぎず、また濃い果汁を飲む際にはなるべくストローを使うなどして安全にレモンを楽しみたい。
■健康的に減量できる“レモンジュース・ダイエット”
レモンは体重を減らしたい人にとっても実に効果的だ。健康的に減量したいという要望に応えてくれるのが“レモンジュース・ダイエット”である。
このレモンジュース・ダイエットは、即効性を求める減量法ではなく健康的にゆっくりと体重を減らしていくタイプのダイエット法だ。何が健康的なのかといえば、デトックス(毒素排出)を主目的をとした食生活を提案するものであるからだ。体内の毒素や老廃物を排出し、また極力毒素となるものを体内に入れないようにすることで、結果的に余分な脂肪を落とすことができる。目安として週に0.5~1キロの減量を見込むものであるという。
このように決してストイックなダイエットではないのだが、やると決断したならばまず最初の1日だけは少しばかり覚悟が必要である。初日の24時間は“半断食”からはじまるからのだ。
レモンジュース・ダイエットの初日は、レモンジュース(レモン水)が食事のメインになる。レモン果汁と水(またはお湯)をベースに、お好みに応じて唐辛子、メイプルシロップ、シナモンなどで“味変”しながら適時、レモンジュースを賞味する。完全な断食ではなくこのレモン水以外にも少量の果物、野菜、ナッツ類(味付けしていないもの)、海藻類、自然製法で作られたヨーグルト、魚に限っては摂取可能だ。
この24時間の“半断食”でいったん、0.5~1キロの体重の減少が見込まれる。ここから1週間、毎朝の起床後、最初にレモン水を飲み干すことからはじまり、毎回の食事にレモン水を加え、また料理にも任意にレモン果汁を振りかけることを心がけ、常にレモンがある食生活を送ることになるのだ。
厳しいメニュー制限はなく、動物性タンパク質としては鶏肉と魚を食べることができる。さらに大豆由来の各種食品、全粒穀物のパンやシリアルやパスタ、オリーブオイルなどの植物油、ナッツ類、海藻類が摂食可能だ。しかしダイエット期間中はアルコール、カフェイン、砂糖、チーズやスナック菓子などの加工食品はひとまず厳禁である。
レモン水には空腹感を緩和する効果もあり、このダイエットが軌道に乗ってくるとそれほど食欲を感じなくなるということだ。したがってカロリーについてはあまり気にする必要はなく、逆に1日あたり女性の場合は1200キロカロリー、男性の場合は1800キロカロリーを下回らないように気をつけなければならないという。摂取カロリーが低くなり過ぎると、短期間では減量は進むかもしれないが、新陳代謝が低下してしまうので健康的なダイエットにはならないのだ。
このように初日の半断食に加えて1週間を1単位にしたダイエット法がレモンジュース・ダイエットである。はじめて行うのであれば、終末の土曜日にはじめるといいのかもしれない。日曜日に食事制限は解けるので、翌々週の月曜日の仕事への影響を少なくすることができるからだ。減量法というよりも、優れた健康食品であるレモンを使った食生活を習慣化するということにもなりそうだ。この機会にレモンの効能を見直してみてもよいかもしれない。
参考:「Live Science」、「Live Strong.com」ほか
文=仲田しんじ
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