健やかで実りある1年を送るためにオススメの“新年の抱負”5選

ライフハック

 実現してみたい目標を新年に掲げることは実際に効果的であることが指摘されている。ならば今がいつであっても“新年の抱負”を設けてみてもよいのだろう。

■“新年の抱負”は理にかなっていた

 新年のはじまりに新しい目標を設定することはきわめて効果的であることが最近の研究で明らかになっている。いったいどんな要素が“新年の抱負”を有効なゴールセッティングにしているのか?

 これを説明しているドイツ・ケルン大学の研究の中で、キーワードとなっているのが「時間的標識(temporal landmarks)」という概念だ。物事をはじめる時間的タイミングを新たに設けることで、過去の失敗体験からいったん切り離されて、文字通り心機一転してモチベーションを高めることができるのである。そのタイミングは、元日や誕生日など他の日と明らかに異なる意味を持つ日であるほうが、この効果を発揮できることが調査で確かめられている。

 元日や誕生日という普段とは異なる“特別な日”という性質によって否応なく1年間という時間が強く意識され、現在の状況と目指したい(1年後の)自分の差をクッキリと浮かび上がらせることができることから、高いモチベーションを維持するための大きな心の支えになるといういうことだ。したがって、特に1年単位の長期的な目標のために“新年の抱負”を掲げるのは実に理にかなった行為だったのだ。

 そして元日などの特別な日は1年後の将来を意識させることに加えて、過去の失敗体験やそれに伴う心のわだかまりを一掃する良い機会にもなるということだ。1年の区切りとなる日を境にして、これまでのことはいったん“水に流して”新たに再スタートを切ることができるのだ。この効果は一般的に“フレッシュスタート効果(fresh start effect)”と呼ばれている。

 もちろんフレッシュスタート効果は1年単位の長期的目標のみならず、もっと短期間の小さな目標設定でも効果が期待できる。例えば運動不足解消のためにジムに通いはじめるにしても、月の中日よりは月の一日(いっぴ)から、あるいは週の月曜日から通いはじめたほうが長続きする傾向があることが実証されている。うまくタイミングが合って誕生日にはじめられれば願ったり叶ったりだ。元日はもちろん特別な日に“新年の抱負”を掲げて何か新しいことをはじめてみれば長続きする可能性が高いのである。

■“新年の抱負”に掲げてみたい健康にまつわる5つの目標

“新年の抱負”ではもちろんそれぞれの具体的な目標が掲げられることになると思うが、それに加えて健康な生活を取り戻すための5つの“抱負”を検討してみることを、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究チームが提案している。確かにどんな目標を達成したにせよ、健康なくしてはその結実をじゅうぶんに味わい尽くせないだろう。

●減シュガー
 アメリカ人の平均の砂糖摂取量はなんと年間30kg(66ポンド)にまで増加しており、危機的な状況を呈しているという。料理や飲料から知らず知らずのうちに摂取している砂糖が近年増加しているということだ。特に清涼飲料水やコーヒー、紅茶にあらかじめ加えられている砂糖が問題になっている。

 砂糖の過剰摂取が肥満や糖尿病の原因になることはもちろん、肝臓への負荷を高め、心臓疾患や各種がん、アルツハイマー病のリスクを高めるといわれている。新年を機会にして、普段何気なく摂っている砂糖に気を配ってみてもよさそうだ。

●睡眠時間の確保
 特にネットコンテンツの充実によって、昨今は夜更かしができる条件が揃い過ぎている。また自宅でも仕事を進められるようになり、会社員であっても仕事のオン・オフがますます曖昧になってきている。こうした背景もあって睡眠時間は削られる傾向にあり、多くの人が睡眠不足の状況下にあるという。

 睡眠不足は当然ながら身体に悪影響を与え、特に高血圧や糖尿病、がん、肥満のリスクを高める。また睡眠不足は身体の免疫機能を全体的に低下させることがわかっている。こうした流れに歯止めをかけるためにもしっかりと眠ることを心がけたいものである。

●減アルコール
“百薬の長”ともいわれ、適量の晩酌であればむしろ健康に資するものであるとも見なされてきたアルコールだが、カリフォルニア大学サンフランシスコ校の最近の研究では適量のアルコールであっても習慣化していると不整脈の一種である心房細動(しんぼうさいどう)を発症するリスクが高まることが指摘されている。そしてこの心房細動によって脳卒中の発症リスクが高まるのだ。

 アルコールが身体に及ぼす影響はきわめて個人差が大きいと考えられているが、少量の晩酌でも健康リスクがないわけではないことが示唆されたのである。アルコール消費は当然ながら最終的には自己責任の問題だが、お酒好きの向きは年明けを機会に酒量を意識してみてもよいだろう。

●ストレスの低減
 近年の研究でクロトー(klotho)遺伝子という、個体の寿命に関係していると思われる遺伝子が発見されている。このクロトー遺伝子が欠乏すると老化が早まることがマウスを使った実験で判明しているのだが、人間においてクロトー遺伝子の欠乏要因が慢性的なストレスにあることがわかってきている。つまりストレスに晒されることでクロトー遺伝子が減少し、老化が早まるということだ。

 また同じくストレスに苛まれている人は染色体の末端部にあるテロメアが短くなっている傾向があるという。テロメアが短くなるほどに老化が進むと考えられ、加齢によっても短くなるのだが、強い精神的ストレスによっても顕著に短くなることが研究で確かめられている。加齢による老化は食い止められないが、昨今の研究では生活からストレスを取り除くことによって再びテロメアが年齢相応に長くなったケースが報告されている。新たな年を迎えるあたり生活上のストレスをできる限り取り除くことを心がけ、健康と長寿を意識してみてはいかがだろうか。

●運動習慣
“新年の抱負”に各種の運動を掲げる向きも多いと思われるが、何かと摂取カロリーが増える三が日の“反動”をうまく利用して運動をはじめ、なるべく継続できるようにしたいものだ。運動は特に細胞の健康を維持する働きがあり、がんの発症リスクを大幅に押し下げるという。昨年の研究によれば、継続的に運動をしている40~75歳の男性は、運動をしない者よりも前立腺がんの発症リスクが69%も低いということである。

 これらのことをすべて一度に気を配るのもなかなかハードルが高いことだとは思うが、何かひとつでも健康に繋がる習慣が身につけられれば大きく生活が改善されるのではないだろうか。

■長期的目標に取り組むための「30/30ルール」とは?

“新年の抱負”は長期的目標の達成のためには効果的であることが指摘されているわけだが、もちろん明らかに難易度の高い目標であれば当然ながら達成は難しいものになる。そもそも目指している目標が1年や2年では到底到達できない種類のものであるケースもあるだろう。

 ゴールまでの道のりがあまりに長いものである場合、まったく前進していないと感じられるスランプ状態に陥ったり、最悪の場合は挫折してしまう。しかしその場合でも有効な戦略がある。それは「30/30ルール」だ。

 これまで順調に進んでいた物事や仕事が行き詰まっていると感じることもあるだろう。そんな時に最も効果的に長い旅路に勢いをつける方法として、ウォーマック夫妻が提唱しているのがこの「30/30ルール」である。ビジネスリーダー養成のためのプログラムを主催し、自己啓発書『Get Momentum: How to Start When You’re Stuck』の著者であるウォーマック夫妻が開発して提唱している「30/30ルール」は、1日30分のプラクティスを30日間続けることを当面の目標にすることである。

 長期的な取り組みを余儀なくされる課題やビッグプロジェクトなど、小手先の技では扱いきれない性質のチャレンジがある。こうした挑戦こそ、当人を真に成長させるものではあるのだが、長期戦になるためいかにモチベーションを保ちつつ、継続して取り組むことができるかどうかが鍵となる。数年がかりのプロジェクトに真正面から取り組んでも、あまりにも対象が大きすぎて途方に暮れてしまう思いがしたとしても無理もない。

 そこで、例えば1年計画の課題であれば、その内容を12分割して1カ月単位のタスクに分けて、1日に30分間集中して取り組むのである。「30分30日」を1ブロックととらえ、これを12回行なうのだ。いわば、本来はマラソンを走っているのだが、3km毎にラップタイムを計測されてコーチに叱咤激励されているような様相といえるだろうか。最終的なゴールがもちろん一番大切なのだが、とりあえずは目先のチェックポイントのことに集中し、あまり先のことは考えずに着々と進めていくという戦略である。

 努力を継続させることを最優先にしているのが「30/30ルール」であり、継続することができてくればたいていの課題は自ずと達成に近づいていく。難関資格の取得でもキャリア上の長期的プランにおいても、モチベーションョンを維持して取り組みを継続するためにこの「30/30ルール」を考慮してみてもよいのかもしれない。

参考:「Scientific American」、「University of California San Francisco」ほか

文=仲田しんじ

コメント

タイトルとURLをコピーしました