スクリーン視聴時間が長いと砂糖&カフェイン摂取量が増え老化が加速する

サイエンス

 テレビ視聴はやはり砂糖&カフェインと相性が良いようだ。電子機器の利用、テレビの視聴で10代の砂糖とカフェイン消費が増えることが最近の研究で報告されている。

■テレビ視聴と砂糖&カフェイン摂取量の関係

 テレビを見ながらソファに寝そべり、ポテトチップなどを口にする人々は“カウチポテト”と呼ばれ、連続ドラマの“一気見”などと共に少なくない人々に支持されているが、カロリー摂取にはやはり気をつけなければならない。

 カナダ・マクマスター大学と米・カリフォルニア州立大学フラトン校の合同研究チームが2019年10月に「PLOS ONE」で発表した研究では、10代半ばの生徒たちのテレビ視聴と電子機器利用と、砂糖入りの飲料およびカフェイン飲料の消費の実態を調査している。

 WHO(世界保健機関)では2歳から18歳のまでの者の砂糖摂取は1日25グラム以下にするべきであると推奨している。また12歳から18歳までの者のカフェイン摂取は1日100ミリグラム以下に抑えるべきであると定めている。

 研究チームは13歳から15歳の3万2418人の学童の生活実態を調査したところ、学童の27%がWHOの推奨値を超える砂糖を摂取しており、21%がWHOの推奨値を超えるカフェインを摂取している実態が明らかになった。

 そして1日の中でテレビの視聴が1時間長くなるごとに、砂糖の摂取がWHOの推奨値を超えるリスクが32%高まり、同じくWHOのカフェイン推奨値を超えるリスクが28%増加することが突き止められた。

 砂糖入りのソーダや砂糖もカフェインも入ったエナジードリンクなどは、女子よりも男子が多く飲む傾向があり、15歳よりも13歳のほうが多く消費する傾向もまた明らかになった。

 砂糖とカフェインの過剰摂取は当然のことながら肥満をはじめとする健康リスクを招く。テレビを眺めながらついつい飲み過ぎたり食べ過ぎたりしないようくれぐれも気をつけたい。

■消灯後の暗い部屋でのスクリーン視聴は厳禁

 テレビを眺めながらの飲食にはくれぐれも気をつけなくてはならないが、児童においては就寝前の暗い部屋でのテレビやタブレット、スマホの視聴を厳に戒めなければならないことが最近の研究で報告されている。

 イギリスのインペリアル・カレッジ・ロンドン、スイス・バーゼル大学などをはじめとする研究チームが2019年1月に「Environment International」で発表した研究では10代序盤の児童の就寝前の暗い部屋でのスクリーン視聴が、睡眠障害、不安障害、肥満のリスクを高めることを報告している。

 11歳と12歳の児童6616人を対象とした調査で、70%の者が就寝1時間前以内に、少なくとも1つ以上のスクリーンを伴う機器を視聴していることが明らかになった。

 実際にどのように機器を使用しているのかの詳細と、睡眠および健康状態についても詳しく聴取したのだが、やはり就寝前のスクリーン視聴が睡眠の質を低下させていることが判明した。

 視聴している際の部屋の明かりの有無でさらに大きな違いが生じていて、明るい部屋でスクリーンを視聴している者の睡眠の質の低下リスクが31%高まるのに対し、暗い部屋でスクリーン視聴をする者は147%と桁外れに高まってくるのである。

 睡眠不足は、子どもと青少年の免疫反応障害、うつ病、不安障害、肥満に関連することも示されている。就寝前にスマホをチェックするなど必要に迫られたスクリーン視聴であっても、せめて消灯する前に行い、消灯後はスクリーンを見ないことを特に子どもたちに徹底させる必要があるのだろう。

■ブルーライトで老化が加速する

 くれぐれも就寝前の暗い部屋でスマホなどを眺めないようにしたいものだが、そもそもスクリーンを眺める時間をなるべく減らすことを心掛けなければならないようだ。ブルーライトを浴びることで老化が進むことがショウジョウバエを使った実験で報告されているのである。

 米・オレゴン州立大学の研究チームが2019年10月に「npj Aging and Mechanisms of Disease」で発表した研究では、発光ダイオード(LED)から放たれるブルーライトをキイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)に1日あたり12時間照射して経過を観察する実験を行っている。

 観察の結果、ブルーライトを長時間浴びたハエは、ずっと暗闇にいたハエ、およびブルーライトを取り除いた光を浴びたハエに比べ、加齢の症状が早く見られることが明らかになった。ブルーライトを浴びたハエは運動能力の低下に加えて、網膜細胞と脳神経が早くに損なわれてくるのである。

 ブルーライトはかねてから目に悪いことが指摘されているが、今回の実験では目のない変異種のハエを使った実験も行われれ、ブルーライトを直接見ていなくとも、身体に浴びているだけで脳機能が損なわれることもまた明らかになったのだ。

 24時間周期で変動する生理現象である「サーカディアンリズム」にとって自然光を浴び、自然光に則った生活リズムを保つことは不可欠である。LEDライトなどの人工的な照明を長時間浴びることで、生理学的な生活リズムが乱されやすくなることは想像に難くない。

 とは言え、現代の社会生活の中でスクリーンを伴う各種の電子機器の影響から逃れることはまず不可能だろう。そこでブルーライトをカットするメガネや、各種の液晶ディスプレイでブルーライト低減機能、ブルーライトをカットする液晶保護フィルムなどを活用して可能な限りの防衛策を講じたいものだ。

参考:「PLOS ONE」、「ScienceDirect」、「Nature」ほか

文=仲田しんじ

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