カタチから入ってもOK、イザというときの英語コミュニケーション術5選

ライフハック

 日本国内で暮らしている限り外国語習得はなかなか難しいのが実情だ。そこでひとまず意識的でありたいのが、英語のボキャブリーを増やすことではないだろうか。

■外国語のボキャブリー増強法10

 日常生活のありふれた物品なのに、英語で言われると咄嗟には理解できないモノがいくつかある。例えばプラスチックバッグ(plastic bag=コンビニ袋、ビニール袋)やエラスティックバンド(elastic band=輪ゴム)など、突然言われても一般的日本人には理解しにくい一群の英語の名詞がありそうだ。こうした言葉を知っておけば、まったく英会話の心得がなくともコミュケーションのレベルはずいぶん底上げされる。そこで外国語のボキャブラリー増強のための10のポイントを紹介したい。

1.文脈で理解する
 具体的な名詞などは単独でも覚えやすいが、抽象名詞や動詞、形容詞などは文章の中での使われ方を把握した上で覚えたほうが効果的だ。例えば「酷い」という意味の形容詞「terrible」は、そのまま覚えるとなかなか大変かもしれないが、天気の話の中でよく出てくると理解しているだけでも思い出しやすくなる。

2.読む機会を増やす
 英文を読む機会をとにかく増やすことを心がける。海外ニュースサイトなどの見出しや冒頭のリード文だけでもよい。興味が向いて目にした文章に出てきた未知の単語は記憶に残りやすい。

3.見て聴く
 その単語をどのように声に出しているのか、もちろん実際の人物を見てその声を生で聴くのが一番いいのだが、昨今はYouTubeなどでも簡単に海外の“オーディオ&ビジュアル”な情報にアクセスできるので“教材”には事欠かない。気になった単語が実際にどうやって言葉にされているのかチェックしたい。

4.視覚化する
 動詞や抽象名詞、形容詞なども“絵”に結びつけることで覚えやすくなる。「切る」という動詞を英語にする場合「cut」がまず最初に出てくるとは思うが、フェンシング選手の姿と「stub=刺す」を結びつけたり、武士が日本刀で竹を切っている光景と「slash=切る」を関連させるなどすると覚えやすい。もちろんどの“絵柄”と言葉を結びつけるのかは人それぞれだ。

5.記憶法を活用する
 試験対策などで短期間でのボキャブラリー増強が求められている場合などは、各種の記憶法を検討してみてもよいかもしれない。

6.メモと筆記具を常に持ち歩く
 電車移動中など日常生活の中の手持ち無沙汰な時間に「○○を英語で言うと?」という考えを巡らせてみたい。そこで気になったことはメモしておくことで記憶が定着しやすくなる。

7.好奇心旺盛であること
 英語に限らず常に好奇心旺盛な態度でいることで、今まで知らなかった言葉を覚えやすくなる。

8.継続は力なり
 どんなに短時間でもよいので1日の中で英単語を意識的に覚える時間を作るべきである。

9.口にできる機会をなるべく増やす
 覚えた英単語を口にできる機会があれば記憶は定着しやすくなる。日常生活の中ではなかなか難しいが、英語で“独り言”を言う時間を作ってみてもよいだろう。

10.繰り返す
 一度の学習行為で覚えられなくても当然である。忘れてしまっていても自分を責めることなく何度でも新鮮な気持ちで覚えようとすることで前向きに学習を続けられる。

 英語を“勉強”するという姿勢よりも、英語に触れる時間が当たり前のようにある生活をデザインすることが肝要なのかもしれない。

■外国語コミュニケーション術5選

 外国語でコミュニケーションをとる場合のポイントがいくつかあるようだ。

1.“自虐ネタ”を有効活用
 外国語でコミュニケーションを行なう際、頓珍漢なことを言ってしまうのではないか、つたなさ過ぎて無知だと思われるのではないかという恐怖が頭をよぎる向きもあるだろう。しかしこのような思いが沸き起こるということは、積極的なコミュニケーションを行ないたいという欲望があることの証拠でもあり、そのエネルギーを逆に利用することができる。

 そのひとつの手段としてはお笑い芸で使われる“自虐ネタ”の方向へと話を持っていくことだ。自分から率先して笑い者になることで心理的なバリアを崩し気の置けないコミュニケーションがはかれる。

2.相手の気持ちを最優先に考える
 自分が何を表現するのかではなく、相手が知りたがっていることを探りながらコミュニケーションをとることで、緊張や照れや気後れなどが緩和される。つまり聞き手に徹する基本姿勢である。

3.ボディランゲージの活用
 ある研究によれば、対面コミュニケーションでボディランゲージが占める割合は55%に達するという。やりとりされている内容の半分以上がボディランゲージで交わされるというのは驚きだ。逆に言えば、ボディランゲージでかなりのことが伝えられるということにもなり、これを活用しない手はない。ちなみに声のトーンや抑揚で伝わる意味は38%、そして話した言葉そのものは7%しかコミュニケーションに影響を及ぼしていないという。

 ボディランゲージと言えば身ぶり手ぶりが最初に思い浮かぶが、実際に多くを“物語る”のは話している時の身体のポーズと、表情(特に笑顔)であるということだ。

4.ネイティブと話す機会をなるべく多く持つ
 環境によっては難しいことだが、ネイティブと話す機会を持つほど当然ながらコミュニケーション力は上がる。その最大の理由は非言語コミュニケーションが“習得”できるからだ。ボディランゲージを含め、話の内容がたとえすべて理解できなくともネイティブの話し方や仕草などから何を言いたいのかがわかるようになる。相手も外国語として英語を話している場合はこれには当てはまらないので注意が必要だ。

5.英文を音読する
 外国語学習における音読の有効性が各種の研究から明らかになっている。初心者のうちはなかなかできないと思うが、英文の内容の意味をしっかり把握しながら音読することがポイントだ。また、好きな洋楽の歌詞を覚えて歌うことは究極の音読となる。英語で歌える楽曲のレパートリーを増やせばいろんな局面でコミュニケーションに役立つだろう。

 ボキャブラリーの増強や英文読解などの“実力”を高めることももちろん重要だが、対人コミュニケーションにおいては“形から入る”手段もいろいろあるということになる。

■グローバル経済下のビジネスにおける外国語の必要性

 ではなぜ今の時代、外国語スキルが求められているのか。マサチューセッツ州ウォルサムの人材派遣業「WinterWyman」が同社サイトで現在のグローバル経済下のビジネスにおける外国語の必要性を解説している。

1.人材市場での優位性
 もちろん職種や業務にもよるが、就職、転職において今日ほど外国語スキルが総じて高く評価されている時代はない。外国語を使わない部署であったとしても、ほとんどの企業ではどこかの部署で外国語が必要とされており、その割合は今後ますます増えてくるだろう。

2.人事選考での訴求力
 企業の人材採用において応募者が同程度のキャリアであれば外国語スキルが大きく左右する。選考の最終局面で第二外国語の習熟度が活きてくるのだ。

3.多様な人脈作り
 2カ国語以上が話せるというとことは、そのまま人脈作りが2倍以上にできるポテンシャルがあるということだ。直接のビジネス関係になくとも、異なる文化圏のビジネスパーソンとの関係を構築することでビジネスの“基礎体力”が確実にアップする。

4.外資系企業への就職
 グローバル展開する外資系企業への就職を憧れる向きは多いが、企業側のほうも市場当該国出身のバイリンガル人材を切実に求めていることも事実だ。国内の一流企業に就職できなくとも、高い外国語のスキルがあればグローバル企業への就職は実は考えている以上に現実的である。

5.別のビジネススキルの向上に繋がる
 研究によれば外国語スキルはほかの業務にも好影響をもたらすという。

●研究によれば外国語を学んでいる学生は学んでいない学生よりも問題解決能力が高いという。

●2カ国語後以上を使って仕事をする者は、同時並行的に複数の仕事を進めるマルチタスク能力を高いレベルで発揮できる。

●シカゴ大学の研究によれば、2カ国語以上を使って考えたアイディアはより自信を深めた考えになるということだ。確かに母国語での思考をもう一度外国語で考え直してみることでさまざまな発見がもたらされ、そのアイディアがより確かなものになると言えるだろう。

 このように、今後のビジネスにおいて外国語スキルが総じて有利に働くことはまず間違いないと言えそうだ。実用レベルに達するまでには相応の時間を要する外国語習得だが、ビジネスパーソンの“自己投資”として引き続き最重要スキルのひとつであることは間違いない。

参考:「Communicaid」、「Rype」、「WinterWyman」ほか

文=仲田しんじ

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