なぜ“男同士のデート”があるのか!? ジェンダーにまつわるありがちな固定観念を検証!

サイコロジー

 LGBTへの理解が進むなどジェンダーにまつわる誤解や相違は確実に減っているはずだが、それでもまだまだ性差に起因する認識のすれ違いは少なくないようである。

■セックスにまつわるよくある固定観念を検証

 同じ事物を見ても、一般的な男性と女性の考え方に違いがあらわれることは今でもよくあるだろう。そしてそこには先入観による誤解もある。そうしたセックスにまつわるありがちだが疑惑の残る4つの固定観念があるという。

●男性のほうがセックスついてより多く考えている
 確かに若い男性の頭の中のかなりの部分をセックスが占めていそうなイメージはある(!?)。しかしそれを断言できる証拠は今のところはないという。

 2012年の調査では、男性は1日に平均約8回セックスを思い浮かべていて、女性は平均約6回という数字が報告されている。意外にそれほどの差はないとも言えるだろう。

 また男女にカウンターを持たせ、1日の内にどれくらいセックスのことを思い浮かべたかを実際にカウントして申告してもらった調査も行なわれている。それによれば、男性は34回と異常に多く(!?)、一方で女性は19回と男性の半分近くにまで落ち込んでいる。しかしそこには従来型のジェンダー観が影響しており、性的に保守的な考え方の女性であるほど“申告回数”が少ない傾向にあることがかわっているということだ。

 総論として男性のほうがセックスついてより多く考えているというイメージはあながち間違っていないとは言えるが、そこにはもっと複雑なメカニズムがありそうである。性差よりも個人差のほうが重要なファクターかもしれない。

●男性のほうがセックス体験人数が多い
 男女の数はおおむね半々であるのに、男性のほうがセックスパートナーが多いというのは、統計学的に見ても不自然な話ではあるが、これまでのアンケート調査でも男性のほうがセックス体験人数が多い傾向がデータとして明らかになっている。

 しかし1997年の研究では、回答行為に心理的バイアスがかかっている可能性が指摘され、男性は実際よりもより多い人数を申告し、逆に女性は実際よりも少ない数を申告している可能性が高いことが示唆されている。またお互いの合意で行なったセックスについて女性のほうが良く記憶している一方、男性は性風俗体験なども含めて大雑多にしか憶えていない傾向もあるということだ。したがって男性のほうがセックス体験人数か多いという命題は迷信だったということになる。

●男性のほうが浮気しやすい
 今までのところ浮気や不倫は男性のほうがしやすい社会的環境にあるため、これについてはおおよそ正しい命題と言える。しかし現代のネット社会では出会いのあり方も多様になり、この固定観念は急速に崩れつつあるようだ。

●男性のほうが3Pに興味がある
 3Pを夢想する人もいると思うが、はたしてこれは男性側に多い欲望なのだろうか。妄想を膨らませることはあっても実際に経験する人は少ないだろうと思われる3Pだが、2016年の調査ではやはり男性のほうが3Pへの興味が高いことが報告されている。

 ただし興味とはいっても妄想に近いものであり、3Pを望む男性の多くは女性2人との3Pを思い描いているという。したがって実現できるのかどうかはともかく、一般的に男性のほうが3Pへの興味が高いのは今のところ事実のようだ。こうしたセックスにまつわる固定観念的なイメージもその内実は時代と共に変化を遂げているようである。

■ゲイではないのになぜ男性同士は頻繁に“デート”しているのか?

 パートナーを持つ女性にとって意外に思えることの1つに、男性同士の“デート”が予想していたよりもかなり多いという実態があるだろう。パートナーである自分を差し置いて、頻繁に男同士の付き合いに出かけていくパートナーに、思わす“バイ疑惑”(あるいは偽装ゲイ疑惑)が持ち上がってきても無理はないが、そこにはやはりそれなりの理由があるという。

●とても楽しくて貴重な時間であるから 
 男同士の“デート”はパートナーとのデートとはまったく質の異なる楽しさがあるという。確かに気心知れた同性の親友とのつきあいでは、パートナーや第3者には絶対言えないようなことを含めて、思ったことは何でも話せるというのが大きいだろう。

●“男子会”よりも親密になれる
 仕事上の付き合いを含めて複数の男性同士の集まりもそれなりにあるのだが、こうした“男子会”はむしろ気分を抑制するものになるという。男同士の集まりの中で恥をかくことは何としても避けたいという気持ちが働くからだ。それとは反対に、男同士の“サシ飲み”は心を解放するより魅力的なアクティビティなのだ。

●男同士のほうが相応しい場所がある
 “女人禁制”のゴルフ場がかつてニュースでも話題になり、もちろん時代遅れであると見なすしかないのだが、残念ながら(!?)今のところはまだ男性だけで行ったほうが相応しくて楽しめる場所というのものが存在しているのもまた事実だ。場末の居酒屋はもちろん、イギリスのパブにもそうした雰囲気はまだまだありそうだ。そもそもサウナなどは当然ながら同性同士でないと一緒に中に入ることはできない。

 こうしたことから“男同士のデート”はこの先も当分はなくなることはないのだろう。

■非一夫一婦制を考えることで新たな視点が生まれる

 性のあり方の多様性が進む一方で、離婚率の上昇やDV問題、不倫問題、ストーカー問題など何かとパートナーシップに乱れが生じていることも事実だろう。日本では深刻な新生児出生数の低下も起きている。こうした背景もあってか、驚くべきことに一部からは一夫一婦制の再考を促す声もあがっているようだ。

 セックスセラピストでもある作家のイアン・カーナー氏は、ある種のカップルにおいては合意の上での非一夫一婦制(consensual non-monogamy)が健全な選択であると主張している。

 カーナー氏はセラピストとしてこれまでにも多くのカップルの相談に乗ってきたのだか、残念ながらカップルにはなっても相思相愛にはなれない関係も少なくないという。カップルとはいえ2人の間に越えられない壁を感じている人も決して珍しくないのだ。

 こうしたカップルの場合、これまでなら浮気や不倫に走ったり、最悪の場合は離縁に発展するケースが少なくなかった。しかし、今は合意的非一夫一婦制の可能性を模索するカップルがあらわれはじめているということだ。つまり一応カップルの関係は結んでいるにせよ、それぞれほかのセックスパートナーを自由に持てるという取り決めだ。

 現代のほとんどの社会では一夫一婦制が前提になっているが、必ずしも全員に適した制度ではないことは、性的マイノリティの人々の存在を見ても明らかだろう。

 もし非一夫一婦制の合意を結ぶことができれば、そのカップルは2人の関係悪化をどちらであれ、耐える必要がなくなるだろう。関係が続けられないような事態になれば、自然と別れることになるからだ。DV問題や愛情はないが夫婦関係を続ける“仮面夫婦”問題などが起きる可能性も極めて低くなる。つまり夫婦だけの“密室”がなくなるということだ。

 もちろん現在の家族制度を考慮すれば、社会に非一夫一婦制が受け入れられることはまずないと思うが、現在の男女関係に起因するさまざまなトラブルを考慮すれば、解決策を探る上でのヒントにはなりそうだ。

参考:「Psychology Today」、「Elite Daily」、「CNN」ほか

文=仲田しんじ

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