たったひとつの質問でナルシスト判定ができる!?

サイコロジー

 仕事でも私生活でも日々の活動の中では新たな出会いもあるだろう。そして2度3度と交流を重ねるうちにその人物のメンタルに問題があるかもしれないと感じたことはないだろうか。

■たったひとつの質問でナルシストを判別できる

 初対面の時のわずかな時間でその人物への好感度が決定されているといわれているが、一度話をしたくらいではその人物の詳しいパーソナリティーまではなかなかわかるものではない。そしてその後何度か接触するうちに、最初は気づけなかったその人物のあまり好ましくないキャラクター特性を見出すこともあるだろう。

 初対面での印象がきわめてよいとされているナルシスト傾向のある人々だが、単なる「いい人」だと思ってつきあいを続けているうちに、どうにも一筋縄でいかないナルシスト傾向があることが後から分ることも無きにしも非ずである。気になる人物のナルシスト傾向はなるべく早く知っておいて損はなさそうだが、たったひとつの質問をすることで、その人物のナルシスト傾向が判別できるという。

 米・オハイオ州立大学をはじめとする研究チームが2014年に発表した研究では、2200人の実験参加者に11の実験を行なうことで、当該の人物のナルシスト傾向をきわめて容易に明らかにする質問を突き止めることに成功している。その質問とは?

 あなたはどれくらいナルシストですか?

 という質問で、7段階評価で自分の“ナルシスト度”を自己評価してもらうというものである。

 興味深いことにナルシスト傾向のある者は、その多くは自分がナルシストであること自覚して認めているので、この質問には正直に回答するということだ。研究では参加者に他の複数のナルシスト傾向を判定する心理テストを受けてもらったのだが、それらのテスト結果とこの質問の自己申告はきわめて一致しているということである。

 ナルシスト傾向の高い人物との交流は難しく問題をはらむものにもなることが指摘されている。もちろん偏見を抱いてはいけないが、つきあいが浅い人物のナルシスト傾向を早い段階で気づいておいて損はないだろう。

■もしもナルシストがリーダーになったら?

 健全と言える範囲のナルシシズムは行動力の源泉にもなり決して悪いものではないのだが、パーソナリティ研究の分野ではサイコパシーとマキャヴェリズム、そしてこのナルシシズムはダークトライアド(Dark Triad)と総称され、その名の通り“ダーク”でネガティブな性格的特性であると分類されている。

 心理学的にナルシシズムは「膨れあがった強大な自己イメージ」と定義され、ナルシストは自分の利益のためだけに行動する傾向があるとされる。そしてナルシスト傾向のある人物がもしも組織の中で地位を得た時、きわめてやっかいなことが起りやすいことが最近の研究で報告されているのだ。

 米・ケネソー州立大学とジョージア大学の合同研究チームが2015年に発表した研究では、ナルシシズムと権力が結びつくことできわめて顕著な自信過剰が育まれることが指摘されている。

 ナルシシズム判定テスト(Narcissistic Personality Inventory)で比較的高い得点を持つ個人が組織の高位の地位にあるとき、当人の自信過剰が著しく高まるということだ。そしてこうして高まった自信過剰は、大きな災厄をもたらしかねないという。つまり、権力を握り常に賞賛されることを求めるナルシストのリーダーは、リスクのある決定を下す可能性が高いのである。

「自信過剰はモチベーションを高めるという有益な影響を及ぼす一方、今回の研究は自信過剰が否定的な結果に繋がる歪んだ判断を行なう可能性があることを示しています」(研究論文より)

 ナルシスト傾向のある人物がリーダーの座についた場合、その組織はきわめて危うい状態にあるということになる。勘違いしやすいのは、ナルシスティックなリーダーをカリスマ型リーダーと取り違えてしまうことだろう。ナルシスト傾向のある人物がリーダーになった場合、周囲の人物のみならず組織構成員はリーダーの言動や意思決定にじゅうぶん注意を払わなければならない。

 国際的にも国内的にも、リーダーの資質が疑われる事例が相次いでいるが、くれぐれもカリスマとナルシストを見間違えることがないようにしたいものだ。

■第一印象が良く目立つナルシストの人気はその後に凋落

 ナルシスト傾向を持つ人物がグループの中でどのように見られているのかを探った興味深い実験が2016年にポーランドで行なわれている。

 ポーランド・ヤギェウォ大学をはじめとする国際的な研究チームが昨年に発表した研究では、ナルシシズムとEQ(心の知能指数)がソーシャルなネットワークの中でどのようにその人物の人気に影響を及ぼしているのかを見極める実験が報告されている。

 多くの大学生にとって、入学の時点では大半の同級生が初対面となるだろう。そこで研究チームはポーランドの大学1年生のグループが、入学の時点から時を経てどのように同級生の好みが変化しているのかを調査したのだ。

 おおよそクラスメイト同士の自己紹介が終わった入学1週間の時点で各学生は学友となった個々の同級生たちがどれくらい好ましく感じられるかを評価し、その後3ヵ月後に再び同じ評価をした。そして評価に先立って各学生はナルシスト傾向とEQを測定する心理テストを受けた。

 これらのデータを分析した結果、お互いが知らない者同士のグループが形成された初期の段階において、ナルシスト傾向の高い人物に人気が集まることがわかった。ナルシスト傾向の高い人物は第一印象が良く、目立つ存在になる傾向があるのだ。

 しかし残念なことにその人気は長続きせず、時間がたつにつれてナルシスト傾向の高い人物とは友情が深まらす、関係を維持できなくなるケースが増えてくるのだ。その一方で、EQの高い人物は徐々にゆっくりと友人を増やしていることもわかった。つまり長期的な人間関係においては、ナルシスト傾向の高さはむしろ不利になり、EQの高い人物が徐々に信頼を勝ち得ていくということになる。

 選挙戦などでも短期決戦で人気を博して当選する候補者もいれば、長きにわたる活動で地盤を築き上げて当選する候補もいる。もちろんそのどちらが政治家として優れているのかはまったく別の問題にはなるが、何事につけて突然の“人気急上昇”や“旋風”には気をつけなければならないのかもしれない。

参考:「The Ohio State University」、「ScienceDirect」、「SAGE Journals」ほか

文=仲田しんじ

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