お肌の老化を加速させる“犯人”トップ3は!?

サイエンス

 大量飲酒は翌日の心身のコンディションを損なうばかりでなく、外見にも少なからぬ悪影響を及ぼしているようだ。飲酒と喫煙の習慣が“見た目の老化”を加速させていることが最新の研究で明らかになっている。

■過度の飲酒・喫煙が外見の老化を加速する

 デンマーク・コペンハーゲンの循環器系疾患研究機関「Copenhagen City Heart Study」が、コペンハーゲン在住の成人1万1500人以上の健康状態と生活習慣を40年にもわたって調査した研究を2017年に発表している。

 外見的な老化を判断する指標には、眼球の黒目と白目の境が濁る角膜輪(老人環)、まぶたの目頭の部分の皮膚が黄色くなる黄色腫症、耳たぶに縦の皺が刻まれるフランク徴候、そして頭髪の減少(おもに男性)の4つが挙げられる。調査では人々の健康診断データと生活習慣の問診データに加えて、これら老化を示す4つの徴候も観察・記録された。

 収集したデータを分析した結果、週28杯以上のアルコール飲料を飲み、15年以上にわたってタバコを1日15本以上吸っている男性と女性は、通常よりも人生のかなり早い段階でこの4つの身体的兆候を発症する可能性が高いことが判明した。つまり一定以上の飲酒と喫煙の生活習慣が、外見の老化を早めているのである。

 あくまでも一定量以上のヘビードリンカー、ヘビースモーカーに当てはまることで、適量の飲酒習慣を持つ人々には老化の早まりは見られなかったということだ。また4つの徴候のうち男性の薄毛だけは、飲酒・喫煙との間の有意な関係は見られなかった。頭髪の減少は遺伝的要因とホルモンバランス要因のほうが強い結びつきがあるという。

 そして今回の研究は外見的特徴に限定したものではあるが、老化の徴候は各種の疾病にも関係があるといわれている。例えば耳たぶに縦の皺ができるフランク徴候(earlobe crease)は冠動脈疾患と関連していることがかつて報告されている。

 今回の研究では客観的な生活習慣以外の要因を考慮に入れることはできなかったが、例えば生活におけるストレスの程度なども老化を早める要因になっているとも考えられる。つまり飲酒と喫煙がストレス解消に繋がればその悪影響は低くなっている可能性もあるのだ。とはいえ過度の飲酒、喫煙の生活習慣は見た目にとっても健康にとっても良いことはまずないといえそうだ。

■「夜食は肌に悪い」ことが濃厚に

 老化を早めるのは飲酒と喫煙ばかりではない。食習慣もまた肌の老化を加速させる可能性があることが最近の研究で指摘されている。

 カリフォルニア大学アーバイン校とテキサス大学サウスウェスタンメディカルセンターの合同研究チームが今年8月に発表した研究では、マウスを使った実験で例外的な時間帯の食事によって、紫外線に対する肌の保護機能が低下していることが報告されている。

 生物には日中に活動する種もあれば夜行性の種もあるが、それぞれに体内時計を持ちおおよそ決まったサイクルで活動している。当然、食事をする時間もだいたい決まってくるのだが、あるマウスに例外的な時間に食事を与えると身体にある変化が飽きていることがわかった。その変化とは、皮膚の色素性乾皮症グループA(xeroderma pigmentosum group A、XPA)と呼ばれる酵素の働きが弱まったのだ。XPAには紫外線に晒されてダメージを受けた肌を修復する働きがあり、活性が弱まると紫外線からより強いダメージを受けることになる。つまり日焼けしやすくなるということだ。

「通常のスケジュールで食生活を行なっていれば、紫外線から皮膚はよりよく保護されています。しかし異常な時間帯の食事スケジュールは、肌の生体時計に有害な変更を引き起こす可能性があります」と研究を主導したジョセフ・タカハシ博士は語る。

 遅くまで起きていると“夜食”が食べたくなったり、夜に飲んだ後にラーメンなどの“シメ”を食べたくなることもあるだろうが、こうした食事習慣が日中の肌の“防御力”を弱め、紫外線からダメージを受けやすくなる可能性が指摘されているのである。

 マウスを使った実験のこの研究結果がそのまま人間に当てはまるのかどうかはまだわかっていないが、人間にも起こっている可能性はじゅうぶんありそうだ。

「これらの発見が人間にも適用されるとは今はまだ言えませんが、皮膚が食事をする時間に影響を受けているという発見はとても興味深いものです」と共同研究者のボギー・アンダーセン博士は話している。

 当然ながら胃をはじめとする身体の内部は食事の影響を強く受けているが、実は皮膚も食事に敏感に反応していたのである。「夜食は肌に悪い」ことがかなり濃厚になったようである。

参考:「BMJ」、「The University of Texas Southwestern Medical Center」ほか

文=仲田しんじ

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